JRA ダノンザキッド安田隆行調教師「まあ、いいでしょう」も全然よくなかった!? 皐月賞(G1)の鬼門枠、まさか「59年勝ちなし」の絶望……
実はエフフォーリアの「7番」は2020年サリオス(2着)だけでなく、2019年ヴェロックス(2着)、2018年のエポカドーロ(1着)、2017年のペルシアンナイト(2着)と4年連続連対中という、驚異的な相性を誇っているのだ。
過去10年でも、他に2015年のキタサンブラック(3着)、2013年のロゴタイプ(1着)が加わり、まさに絶好の枠といえる。
一方、ダノンザキッドの「8番」は一見有利な枠に思えるが、過去10年で馬券に絡んだ(3着以内)のは、なんとゼロ……。
直近馬券に絡んだのは2004年のメイショウボーラー(3着)まで遡らなければならず、勝ち馬に至っては1961年のシンツバメ(第21回)と、データ上では絶望的と言わざるを得ない。近年でも2017年のファンディーナ、2015年のサトノクラウンが1番人気に支持されたものの、馬群に沈んでいる。
さらに過去10年で前年にJRA賞の最優秀2歳牡馬を獲得し、皐月賞を勝った馬は昨年のコントレイル、2013年のロゴタイプの2頭が該当するが、いずれも前走を勝利していた。
逆に「前走で敗れた2歳王者」は1頭も馬券対象(3着以内)になっておらず、最優秀2歳牡馬(旧3歳)が創設された1987年以降まで範囲を広げても、2009年のセイウンワンダー(3着)、1990年のアイネスフウジン(2着)と、わずか2頭しか該当しない。前走の弥生賞(G2)で3着に敗れたダノンザキッドは、ここでも重いデータを背負うことになる。
一方で、エフフォーリアの「前走・共同通信杯(G3)1着馬」は2016年のディーマジェスティ、2014年のイスラボニータ、2012年のゴールドシップと3頭の勝ち馬を輩出。2015年にも2着馬だったドゥラメンテが勝利するなど、圧倒的な好相性を誇っている。
ここまで無傷の3連勝中だが、昨年のコントレイル、2019年のサートゥルナーリアと、皐月賞はむしろ無敗がトレンドだ。
先週の桜花賞では、2歳で結果を出した「既存勢力」と3歳に対応した「新勢力」が激突したが、ソダシとサトノレイナスが阪神JF(G1)同様のワンツーを決め、前者が後者を圧倒した。
果たして、今週の皐月賞で存在感を示すのは「既存勢力」ダノンザキッドか、それとも「新勢力」のエフフォーリアか。データが示すのは、圧倒的に後者の優勢だが……。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。