大本命エアスピネルと武豊に死角なし?約1年ぶりのマイル戦に「血統」から見るマイル適性と、勝つための「3つ」のポイント
また、2歳時に高パフォーマンスを発揮しながらもクラシックに届かなかったこと、さらには母エアメサイアや近親のエアシャカールの古馬実績から、本馬の成長力を疑問視する声もあるが、それはおそらくノーザンテーストの血が否定している。
かつて「ノーザンテーストの産駒は3度変わる(成長する)」と称されていたように、ノーザンテーストは日本競馬全体でも屈指の成長力を秘めた大種牡馬。直仔がいなくなった今でも、ノーザンテーストの血を持つ馬は息の長い活躍をするケースが度々見られる。
皐月賞馬ながら6歳になるまでG1タイトルを積み上げ続けたダイワメジャー、8歳になって覚醒しウオッカらを撃破してG1を連勝したカンパニーなど、エアスピネルが今後目指すべき偉大な先人の多くはノーザンテーストの血を持っている。それだけに、本馬の成長もまだ大きな上積みがあるのかもしれない。
古馬になった今でも成長力は充分に期待できるが、血統的には先述したダイワメジャーやカンパニーのような「マイルもこなす中距離馬」となりそうだ。
血統的な見解は以上だが、本馬がマイル戦に挑む上でのポイントは「3つ」ある。
1つは「ペースに対応できるのか」という不安点。だが、実は京都金杯は例年の馬場状況やコース形態の影響もあって、マイル戦でもあまりペースが上がらないレースだ。
過去10年間で最初の600mが34.0秒を切ったのは、2012年の一度だけ。前年の覇者シルポートが33.8秒で暴走し、最終的に15着から7馬身差の最下位16着に沈んでいる。今年はシルポートのような生粋の逃げ馬は見当たらず、度外視して良いだろう。
その2012年を除けば、最初の600m で34.5秒を切ったのも2010年(34.2秒)の一度だけ。その点でエアスピネルは弥生賞と皐月賞で34.5秒を切るレースを経験しており、どちらも好位から競馬しているだけに、今回もダッシュ力に関しての不安は皆無といえる。
鞍上武豊を踏まえれば、その気になれば逃げることまで想定される。
また、2つ目のポイントとして、本馬が京都金杯の1週前追い切りで栗東坂路の一番時計を叩き出したように、非常に調教駆けすることが挙げられる。
あくまでセオリーだが調教で動く馬は短距離向き、逆に動かない馬は長距離向きという傾向がある。そういった点も距離短縮が本馬にとって協調材料になる可能性が高く、陣営がマイル路線に舵を切ったのも、普段のケイコの動きを見てのことだろう。