JRA 池添謙一「気持ちが切れてしまった」ソングライン不完全燃焼から猛反撃! NHKマイルC(G1)大金星まであと一歩でスルリ……明暗分けたゴール前の攻防
9日、東京競馬場で開催されたNHKマイルC(G1)は、外国産馬のシュネルマイスターが優勝した。コンビを組んだC.ルメール騎手は2016年のメジャーエンブレムで制して以来、5年ぶりの同レース制覇となった。
「ハナ差で勝つことが出来た。本当に嬉しい」
ゴール前の激戦をモノにしたルメール騎手が、勝利騎手インタビューで辛勝を振り返った一方で、肩を落としたのがソングライン(牝3、美浦・林徹厩舎)で惜しくも2着に敗れた池添謙一騎手だ。
前走の桜花賞(G1)では、内から斜行してきたメイケイエールに馬体をぶつけられ、外へ外へと追いやられる不利。池添騎手も「あれで気持ちが切れてしまった感じで、手応えがなくなりました」と振り返ったように、能力を発揮することなく敗れた。
15着に大敗しただけに評価急落かと思われた中、ファンはソングラインを7番人気に支持した。「前走が不完全燃焼なので今度こそ」と意気込んだ池添騎手にも思うところはあっただろう。
フルゲートで行われた東京芝のマイル戦は、ピクシーナイトが飛ばして前半600mが33秒7のハイペースで流れた。最後の直線で6番手につけたソングラインは、1番人気のグレナディアガーズを前に見る絶好の展開。
直線半ばで早々と先頭に立ったライバルを競り落とし、抜群の手応えでゴールを目指した。昨年の2歳マイル王を置き去りにした池添騎手の脳裏に勝利の二文字が浮かんだことだろう。
しかし、外から猛然と追い込んできたのがシュネルマイスター。ゴール前でソングラインがもたついた一瞬の隙を見逃さず、ハナ差で捉えたところがゴールだった。
「最後の最後に左手前に戻して、そこから苦しくなりました。ハナ差だけに悔しいですが、この馬の力のあるところは見せられました」
池添騎手もそう振り返ったように、ゴール前でスムーズさを欠いたことは悔やまれる。
紅梅S(L)では、ルメール騎手の手綱で快勝していたソングライン。乗り替わった桜花賞(G1)で結果を残せなかった池添騎手だが、コンビ2戦目のNHKマイルCで勝負強さを見せつける2着。敗れた相手は元パートナーのルメール騎手だったことは皮肉な結果だったかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。