JRA 「110億円」が紙くずに……、バスラットレオンのNHKマイルC(G1)だけじゃない!? 過去には武豊も味わった屈辱のアクシデント
3歳春のマイル王を決する一戦となったNHKマイルC(G1)は、2番人気のシュネルマイスターが優勝。1番人気のグレナディアガーズは3着に終わった。
同レースの売上は約152億円。前年比108.9%増となり、今月2日に行われた天皇賞・春(G1)に続き、今年のG1レースの売上は前年比増を続けている。
大きな注目を集めたのは、2枠4番バスラットレオンがスタート直後に落馬したアクシデントだ。単勝4.6倍の3番人気に推された同馬は発走直後、他の馬に関係なく躓いて藤岡佑介騎手が振り落とされた。晴れのG1レースで、残念ながら競走中止の憂き目にあってしまった。
この瞬間、ネットの掲示板やSNSでは「本命馬が一歩目でまさかの落馬!」「一瞬でレースが終わった……」など阿鼻叫喚の嵐。「落馬の場合は返還がない」無念さと悔しさが入り乱れ、Twitterではバスラットレオンや藤岡佑介などのワードがトレンド入りするなど、大きな反響をよんだ。
同馬の単勝に投じられた票数は1,171,792票で、単勝だけの売上金額は約1.2億円。時系列データをみると、さらに事の深刻さがうかがえる。
発送直前の15時29分から5分の間で106,972票を集めたほか、34分から締め切りの39分までに集めた票数は420,621。これは1番人気グレナディアガーズの314,174票や、2番人気シュネルマイスターの322,598票を上回る票数だった。
単勝だけでなく、もちろん馬連でもバスラットレオンは大きなシェアを占めていた。同馬と1番人気のグレナディアガーズとの組み合わせは9.8倍。優勝したシュネルマイスターとの馬連オッズは13.5倍。それぞれ馬連では2番目と3番目の人気を誇っていたが、落馬によってすべてが「紙くず」に。
G1レースのスタート直後の落馬といえば、今から50年以上前の1969年の日本ダービー(G1)で起こった「タカツバキ落馬事件」をご存知だろうか。
同年の皐月賞馬ワイルドモアが骨折で出走せず、1番人気となったのはタカツバキという馬で、同馬の集めた単勝支持率は44%もあった。
JRAが公式データ提供を始めた以前の話であり、正確な単勝オッズは不明だが、単勝支持率的に断然の1番人気と推測できる。そんな同馬がスタート直後に落馬して競走中止となったのだから、当時の競馬ファンの落胆ぶりは尋常ではなかったはずだ。
しかし話はこれで終わらない。
抽選馬のタカツバキは、一般的に売買される馬よりも格安で取引された馬だった。抽選馬とは、売れ残った馬をJRAが引き取って育成した後、希望者に抽選で売却した馬のこと。
当時は「マル抽の馬がダービーを勝つなどあり得ない」という風潮があり、実はこの落馬事故は意図的に行われたのでは……という噂も流れたのが「タカツバキ落馬事件」であり、真相は今でも闇のままとなっている。
実はあの武豊騎手も、G1レースでスタート直後の落馬の憂き目に遭っている。