JRA グランアレグリア最終追い切り「抜群」もC.ルメールとは相性最悪!? ヴィクトリアマイル(G1)に一抹の不安

 大阪杯(G1)4着から巻き返しを期す、昨年の最優秀短距離馬・グランアレグリア(牝5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が16日に東京競馬場で行われるヴィクトリアマイル(G1)に出走する。

 昨年は間隔を空けながら短距離G1・4レースに出走。一流マイラー・スプリンター相手に3勝2着1回という成績を残した。特に圧巻だったのは6月の安田記念(G1)。女傑アーモンドアイに2馬身半差をつける圧勝劇を演じたのは記録に新しい。

 ところが今年の始動戦に選んだ大阪杯では、約2年ぶりの馬券圏外に沈む4着。コントレイルに次ぐ2番人気に支持されたものの、結果はレイパパレが余裕の逃げ切り勝ち。グランアレグリアは0秒9離され、最後はコントレイルにも交わされた。

 コーナーを4回走る内回り、初めての距離、さらに道悪馬場が自慢の切れ味を削ぐ形となったのは言うまでもないだろう。

 今回は距離を1600mに戻し、良馬場での開催が濃厚。牝馬限定戦なら負けるわけにはいかない。

 状態も前走から明らかに良化。12日の水曜追い切りは、美浦南WでC.ルメール騎手を背に追い切られ、馬なりのまま6ハロン82秒1-3ハロン37秒9-ラスト12秒7の好タイムをマークした。

 跨ったルメール騎手は「すごく良い追い切りをしてくれました。最初は我慢していて、3、4コーナーからは自分から動いて行きました。元気いっぱいでした。直線ではよく伸びて、息もフットワークも全部良かったです。いい状態だと思います」と手放しで絶賛。藤沢調教師も「一度使って、順調にきています」と上積みを強調した。

 一見、死角らしい死角は見当たらないグランアレグリアだが、抜群の動きを見せた最終追い切りに不安要素が隠されているという。

「確かに水曜の(最終)追い切りは馬なりのまま時計も理想的でした。文句なしの状態でレースを迎えることになると思います。ただ気になるのは、最終追い切りにルメール騎手が跨ったことです。

ルメール騎手がグランアレグリアの最終追い切りに跨るのは今回で5度目ですが、実はこれまであまりいい結果が出ていません」(競馬誌ライター)

 これまでグランアレグリアの最終追い切りに最も多く跨ったのは藤沢厩舎に所属する杉原誠人騎手で、乗り役を合計5回こなしている。その時のグランアレグリアの成績は「4-1-0-0」で、唯一の黒星が昨年の高松宮記念(G1)だった。一方、ルメール騎手が追い切りに跨った時は、「1-0-1-2」。偶然か必然か、3着以下に沈んだ3度(朝日杯FS、NHKマイルC、大阪杯)は全てルメール騎手が最終追い切りで乗り役を務めていた。

 この2人以外には上野翔騎手(デビュー戦)と北村宏司騎手(阪神C)も最終追い切りに1度ずつ跨っているが、ともにレースではルメール騎手が勝利に導いている。

「騎手としては日本一のルメール騎手ですが、追い切りはまた勝手が違うのでしょう。グランアレグリアは従順な性格と言われていますし、ルメール騎手が跨ると必要以上にスイッチが入ってしまうのかもしれません。調教であまり負荷をかけたくない藤沢厩舎にとって、これが微妙な狂いを生じさせているとも言い切れません」(同)

 前走に続いて調教に駆け付け、勝利への意気込みを見せたルメール騎手。それがレースで悪い方向に出なければいいのだが……。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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