JRA C.ルメールと新コンビで「凱旋門賞挑戦」に現実味。クロノジェネシスは2着馬ナカヤマフェスタ、エルコンドルパサーを「超越」する馬場適性!?
今年こそ、悲願達成となるのか――。
6月27日に阪神競馬場で行われる宝塚記念(G1)に出走を予定するクロノジェネシスだが、主戦である北村友一騎手が落馬負傷のため、C.ルメール騎手に乗り替わることが決まった。
クロノジェネシスはフランスのパリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1)にも登録を済ませているものの、北村友騎手の復帰には1年以上掛かると見られており、宝塚記念の結果次第では、そのままルメール騎手での凱旋門賞出走もありそうだ。
クロノジェネシスの父は、2004年の凱旋門賞馬であるバゴ。ロンシャンでは、パリ大賞典(G1)、ガネー賞(G1)も制したフランスの競走馬である。
父が凱旋門賞を制している馬で、日本馬が凱旋門賞に挑むのは今回が初めて。これまで以上にチャンスは見込めそうだ。
凱旋門賞といえば、世界最高峰とも言われるレースの1つ。オルフェーヴル、エルコンドルパサー、ディープインパクトなど、日本で年度代表馬となった名馬も挑戦したが、欧州の強豪に苦杯を舐め続けている。
これまで25頭もの日本馬が挑戦したが、最高は2着と日本競馬界の悲願となっている凱旋門賞制覇。このレースで最も勝利に近づいた日本馬が、ナカヤマフェスタだ。
ナカヤマフェスタは、クラシック3戦で皐月賞(G1)8着、日本ダービー(G1)4着、菊花賞(G1)12着。フランス遠征前の宝塚記念は勝利したものの、日本の現役最強馬といわれる存在ではなかった。
「ナカヤマフェスタ(4歳)が凱旋門賞に挑戦した2010年は、日本から当時3歳のヴィクトワールピサも出走していました。適性云々を抜きにすれば、日本での評価はヴィクトワールピサの方が高かったと思いますよ。
ただ、凱旋門賞ではヴィクトワールピサが伸びあぐねる中、ナカヤマフェスタはあわやの2着でしたからね。如何に欧州のタフな馬場に対応できる馬場適性が大事かということを、競馬ファンに知らしめたレースでもあるのではないでしょうか」(競馬記者)
2010年の凱旋門賞は、最後の直線で先に抜け出したナカヤマフェスタに、その内を突いたワークフォースの叩き合い。最後はアタマ差で後者に軍配が上がった。
ナカヤマフェスタは、稍重馬場の宝塚記念を上がり最速の35.8秒で制した馬。今年の凱旋門賞を視野に入れるクロノジェネシスも、同じく稍重とタフな馬場で昨年の宝塚記念を制しており、上り最速36.3秒の脚で2着キセキを6馬身突き放して圧勝している。
また、同じく凱旋門賞で2着となったエルコンドルパサーも、ニュージーランドT4歳S(G2、当時)を重馬場、NHKマイルC(G1)も稍重馬場で制していた。
さらには、2年連続で凱旋門賞を2着したオルフェーヴルも、不良馬場の日本ダービーを制覇。やはり、ロンシャンの馬場攻略には時計のかかるレースでの好走歴が必須といえそうだ。
凱旋門賞馬バゴの産駒で、昨年の宝塚記念でも既にタフな馬場への適性を証明しているクロノジェネシス。日本競馬界の悲願へ、ルメール騎手との新コンビとなる今年の宝塚記念でも圧巻の競馬に期待したい。(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。