JRA白毛馬の女王ソダシは「なぜ」負けたのか!? オークス(G1)で越えられなかったクロフネ産駒の宿命、デアリングタクトが証明した無敗二冠の難易度

ソダシ 撮影:Ruriko.I

 23日、東京競馬場で開催された牝馬クラシック第2弾・オークス(G1)を制したのはM.デムーロ騎手の3番人気ユーバーレーベン。2着には三冠牝馬アパパネの仔アカイトリノムスメ、3着には16番人気ハギノピリナが入った3連複は10万9190円、3連単は53万2180円という大波乱となった。

 その一方で、デビューから5戦無敗で桜花賞(G1)を制したソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)。最大のライバルと見られていたサトノレイナスがダービー挑戦を表明したこともあり、実績的にも抜けた存在。単勝オッズ1.9倍の断然人気を集めたが、8着に敗れた。

「距離の壁かもしれません」

 コンビを組んだ吉田隼人騎手がそう振り返った通り、距離延長への不安が現実となる結果だった。

 ソダシの父であるクロフネ産駒は過去、芝1800mの重賞で8勝を挙げながらも、芝2000m以上になると未勝利。レース前には二冠の懸かったオークスの距離・芝2400mを不安視する声も出ていた。

 フルゲート18頭で争われたレース。好スタートを決めたのはクールキャットだった。ソダシもこれに続いて2番手を窺う勢いで前に行く。ソダシ陣営にとって誤算があったとすれば、大外から内へ切れ込んできたステラリアだろう。

 外から内へ押し込められるような格好となったソダシは、プレッシャーを掛けられ続けたことも影響したのか、行きたがる素振りを見せる。ソダシは一旦ポジションを下げるが、外にはストライプがおり、終始馬群に囲まれる状態。

 最後の直線を6番手で迎えたソダシだが、末脚は弾けない。一度は伸びかけたものの、残り200m頃には止まってしまい、後続馬に飲み込まれてしまった。

「過去、オークスで同じくクロフネ産駒のホエールキャプチャが3着に入ったこともあり、これを実績で上回るソダシなら克服可能ではないかと考えたファンも多かったと思いますが、残念な結果となってしまいました。

差し追い込み馬が上位を独占したように、後方待機組に有利な展開でもありました。仮にスムーズな競馬が出来ていたとしても、ソダシには流れが向かなかったかもしれませんね」(競馬記者)

 無敗で桜花賞を制した今年のソダシに、昨年のデアリングタクトに続く2年連続の無敗二冠で達成の期待が大きかったことは間違いない。だが、近年でも過去には90年アグネスフローラ、91年シスタートウショウ、04年ダンスインザムードといった無敗の桜花賞馬がオークスに挑んだが二冠の壁に跳ね返されていた。

 だが、昨年達成したデアリングタクトは1957年ミスオンワード以来、63年ぶりの快挙でもあった。これがいかに難易度の高いミッションだったか伝わる今年の結果だった。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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