JRA「低迷」ロードカナロアに反撃の狼煙!? 種付け料2000万→1500万も、3歳世代重賞初制覇で日本ダービー(G1)アドマイヤハダル&タイムトゥヘヴンを後押しか
29日、中京競馬場で行われた葵S(重賞)は、13番人気の伏兵レイハリア(牝3歳、美浦・田島俊明厩舎)が道中2番手から直線力強く抜け出し、ヨカヨカの追撃をハナ差しのぎきった。
鞍上を務めた3年目の亀田温心騎手は重賞5度目の騎乗でうれしい初勝利。これにはSNSを中心に、「ハート様、重賞初優勝おめ!」、「ハート様おめでとうございます!」など亀田騎手に対して祝福の声が相次いだ。
レイハリアは、これで3月の未勝利戦から3連勝。「平成最強の短距離王」とも呼ばれた父ロードカナロアが最も得意とした1200mで重賞初挑戦初制覇を飾った。
この1勝は種牡馬ロードカナロアにとっても、非常に意義のある勝利となりそうだ。ロードカナロアは、これまで初年度産駒からアーモンドアイ、2年目産駒からはサートゥルナーリアというクラシックウイナーを輩出。今年もダノンスマッシュが高松宮記念(G1)を勝ち、ケイデンスコールがマイラーズC(G2)を勝つなど1~2年目産駒だけで重賞ウイナーは15頭を数え、合計39勝を挙げている。
ところが3年目産駒の現4歳世代は、重賞レースに延べ35頭が出走するも、「0-2-0-33」とサッパリ。さらに、4年目産駒の現3歳世代もレイハリアが葵Sを制するまで延べ20頭が出走し、「0-3-1-16」と重賞の厚い壁に阻まれてきた。
「ロードカナロアは、アーモンドアイとサートゥルナーリアという2頭以外にもダノンスマッシュやステルヴィオなど多くの活躍馬を出し、一時は『ポスト・ディープインパクト間違いなし』とまで言われました。
ところが繁殖牝馬の質が下がると言われる3年目産駒は、ご存じのように大苦戦。4年目産駒もなかなかタイトルを獲れず、そうこうしているうちにエピファネイアやモーリスが台頭。2020年度には2000万円に達した種付け料も、21年度は1500万円に下がってしまいました。そんななか、格付けなしの重賞とはいえレイハリアが勝ったことは、ロードカナロアの今後を占う上で小さくはない出来事だと思います」(競馬誌ライター)
アーモンドアイを中心に怒涛の勢いで重賞を勝ちまくったロードカナロアの1~2年目産駒。自身も現役時代は勢いに乗ると連勝するタイプだっただけに、3~4世代目の今後の走りにも注目が集まる。
30日に行われる日本ダービー(G1)には、ロードカナロア産駒が2頭出走。オークス(G1)で久々のG1タイトルを獲ったM.デムーロ騎手騎乗のアドマイヤハダル(牡3歳、栗東・大久保龍志厩舎)と、キストゥヘヴンを母に持つ良血タイムトゥヘヴン(牡3歳、美浦・戸田博文厩舎)は、どちらも2桁人気が濃厚で、ノーマークの存在だ。それでも2頭とも2000mで勝ち鞍がある。
レイハリアの激走を発端に、ロードカナロア産駒は反撃の狼煙を上げることはできるだろうか。(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。