JRA新種牡馬サトノアラジンが“大出遅れ”も、仕切り直しの一戦で「現役時代彷彿」の巻き返しに成功!? ディープインパクト「後継種牡馬争い」を生き残れるか

 今月5日から始まった2歳新馬戦。13日までの開催4日間で新種牡馬の産駒が続々デビューを果たしている。

 6日の中京では、アメリカンペイトリオット産駒のブレスレスリーが逃げ切り勝ち。JRAの新種牡馬産駒として初勝利を飾った。12日にはドレフォン産駒の白毛馬ハイアムズビーチが快勝。13日には、シルバーステート産駒のメリトクラシーもこれに続いた。

 アメリカンペイトリオットとドレフォンはともにアメリカからの輸入種牡馬。一方、ディープインパクト産駒のシルバーステートは故障で現役引退に追い込まれたが、そのポテンシャルが評価され、種牡馬入り。産駒の評判も上々だ。

 シルバーステートと同じくディープインパクトを父に持つ新種牡馬の1頭がサトノアラジンである。12日の札幌2歳新馬で、武豊騎手を背にヴィルチュオーズが初陣を飾る予定だった。ところが、馬場入場後に左前肢跛行を発症し、まさかの競走除外となった。

「サトノアラジン自身、現役時代は出遅れ癖のある馬でしたが、種牡馬としても“出遅れて”しまいましたね。ヴィルチュオーズは除外される直前まで単勝5番人気に支持され、チャンスはあると思っていたのですが……。

サトノアラジン自身は、出遅れてもそれをカバーするだけの強烈な差し脚を持っていました。それを彷彿とさせたのが、翌日(13日)の新馬戦(札幌5R)に出走したグラスミヤラビです。13頭立ての8番人気、単勝63.0倍という伏兵でしたが、中団から上がり最速の末脚を繰り出し、勝ち馬とクビ差の2着に食い込みました」(競馬誌ライター)

 このレースでは、断然人気のグットディールが4着に敗れ、三連単は75万円超えの高配当。この大波乱を演出した馬がグラスミヤラビだった。

 父サトノアラジンも現役時代に唯一勝利したG1で波乱を起こしている。

 それが2017年の安田記念(G1)である。古馬になってからマイル路線を歩んでいたサトノアラジン。前年秋のマイルCS(G1)から香港マイル(G1)、京王杯SC(G2)と3戦連続で1番人気に支持されるなど、一流マイラーとして評価は高かった。ところが、その3戦は5着、7着、9着と人気を裏切る形。安田記念は7番人気まで評価を大きく落としていた。

 しかし、自身7度目のG1挑戦は直線後方一気の差し切り勝ち。凡走続きに終止符を打ち、悲願の栄冠を勝ち取った。

 種牡馬として初陣で出遅れた姿、そして人気薄のグラスミヤラビが好走した姿はどこか現役時代のサトノアラジンを見ているかのようだった。

 種牡馬としては、初年度から118頭、90頭、95頭と種付け頭数は安定。種付け料も3年連続で100万円を維持しており、産地から聞こえてくる産駒の評価も悪くない。

 これからますます激化していくであろうディープインパクトの後継種牡馬争い。今年だけでもシルバーステートとサトノアラジン以外にも5頭がこの争いに加わる。

 果たして、サトノアラジンはこの後継争いを生き残ることはできるだろうか。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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