JRA武豊の全盛期を超えた!? リーディング上位騎手との差も歴然……芝の“鬼”と化した川田将雅の凄まじい成績とは?
武豊騎手“一強”時代ともいえる2000年代前半の競馬界。事実、2004年の全国リーディングを振り返れば、211勝の武豊騎手に続く2位は145勝の柴田善臣騎手で、その差は66勝もついていた。
3位は127勝を挙げるも、前年2003年にJRA移籍を果たしたばかりの安藤勝己騎手。4位は121勝の藤田伸二騎手で、5位横山典弘騎手は116勝、6位後藤浩輝騎手は101勝と100勝ラインを突破。倍以上の差をつけていた武豊騎手の“一強”時代の感は否めない。
翻って昨今の競馬界の、C.ルメール騎手の活躍ぶりはご存知のとおり。当然、騎乗馬が同騎手に集中するなど、騎手たちのパワーバランスが大きく異なる事もあり、35歳の武豊騎手と川田騎手を単純に比較できない面もある。
武豊騎手が35歳の当時、仮にC.ルメール騎手のような、いわば武豊騎手と双璧をなすスーパージョッキーが存在していたら、武豊騎手への騎乗依頼は減っていたかもしれない。当然、武豊騎手が騎乗する“馬質”についても、言うに及ばずだろう。
しかし裏を返せば、昨今のこうしたパワーバランスのなかでも、芝限定ながら川田騎手が勝ち続ける姿勢、結果を残し続けている姿は、より一層称賛されるべきではないだろうか。
「芝なら将雅(ゆうが)」は、競馬ファンにとって新たな格言になるかもしれない。
川田騎手の芝コースでの“神”騎乗は、いつまで続くのか。残りわずかとなった上半期はもちろん、下半期を迎える7月以降も継続して、2021年シーズン最後まで注目したい。(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。