世界最高賞金レース・ペガサスワールドC(G1)は本当に開催できるのか? 画期的な新システムの「盲点」 世界最強馬2頭の”賞金独占”でライバルは戦々恐々か
日本ではG1シーズンも一休みといったところだが、今、世界中から最も大きな注目を集めているレースといえば、間違いなく米ガルフストリームパーク競馬場で開催される第1回ペガサスワールドカップ(G1、1月28日開催)だ。
従来の世界最高賞金を誇るドバイワールドカップを大きく上回る賞金総額1200万ドル(約13億2000万円)、1着賞金は驚愕の約7億7000万円。まさに絵に描いたような「アメリカンドリーム」といえるだろう。
そんな輝かしい船出が約1週間後に迫ったペガサスWCだが、実はここに来て「本当に開催されるの?」という疑念が囁かれ始めている。
というのも、このペガサスWCはこれまでになかった画期的なシステムによって運営されおり、ここに来てどういった出走馬になるのかも明確になっておらず、周囲の関係者もやや困惑しているというのだ。
その原因はペガサスWCの超高額な賞金資源が、出走1枠につき100万ドル(約1億1000万円)という出走権料(参加費)で賄われていることに尽きる。つまり、ペガサスWCの賞金総額1200万ドルは出走する「12枠」の各陣営が、出走権料100万ドル(100万ドル×12枠=1200万ドル)を出し合って築かれているということだ。
無論、この斬新なシステムを創設発表当初から不安視する声はあった。
何故なら、参加者皆で金を出し合い、「勝者」がそれを受け取るというシステムは、つまるところ勝てる見込みがなければ大損するルールだからだ。従来のレースであれば、例え勝てる見込みがなくとも、最低限の費用を除いて大きなマイナスにはならない。だが、参加費が1億円掛かるこのペガサスWCの場合、勝ち目の薄い勝負は極めてリスキーな立場を強いられる。
そして、実際に”それ”は起ころうとしているのかもしれない。
昨年5月に発売された12枠の出走権は「1枠」約1億円にもかかわらず、わずか4日で完売した。その理由は、ルール上で出走権の転売が許されていることが大きい。つまりは有力な投資家などが予め出走権を抑えておき、今年の1月までに有力馬を所有する陣営に売りつけることができるからだ。
だが、その購入者の中に当時の世界最強馬カリフォルニアクロームを所有する馬主グループがいたことは、そんな目論見を持った出資者を震え上がらせたことだろう。つまり、最も参加する可能性があった”大本命”に出走権を転売することができなくなったからだ。