JRA「3歳賞金ベスト100」から見る名門厩舎の明暗! ドゥラメンテ&モーリスの堀厩舎がまさかの「全滅」……二冠・手塚厩舎&ソダシ須貝厩舎が大躍進! 2歳王者グレナディアガーズ中内田厩舎の意外な事実
先週、春のグランプリ・宝塚記念(G1)が行われ、競馬界の上半期が終了。様々なスターホースが次々と出現する中で、管理する厩舎の明暗も大きく分かれた。
そこで今回は厩舎の若き原動力となった「3歳馬」の獲得賞金ベスト100に注目。クラシック戦線で飛躍した厩舎と、逆に不振に終わった厩舎を紹介したい。POG(ペーパーオーナーゲーム)を嗜む競馬ファンにとっても必見の内容となっているはずだ。
※()内は3歳世代の賞金順位。
まず筆頭に挙げるべきは、美浦の手塚貴久厩舎だろう。
長く厩舎の看板を務めたフィエールマンの活躍もあり、毎年コンスタントに良血馬を手掛けている手塚厩舎だが、これまでは藤沢和雄、国枝栄厩舎ら関東の超A級厩舎と比較すれば一歩劣る印象だった。
しかし、今年はユーバーレーベン(第4位)がオークス(G1)を制し、シュネルマイスター(第5位)がNHKマイルC(G1)を勝つなど、3歳馬が大活躍。他にも、クラシック出走は叶わなかったもののアルビージャ、シュバルツカイザーが3勝、ヴェイルネビュラがジュニアC(L)を勝利するなど賞金トップ100に5頭を送り込んだ。
続いては、やはりダービー馬を輩出した藤原英昭厩舎にも注目しておきたい。
ここまでリーディング31位の15勝と、勝ち星は決して多くないが2018年の皐月賞馬エポカドーロなど、クラシック制覇の“一撃”を秘める藤原厩舎。今年はシャフリヤール(第1位)が2010年のエイシンフラッシュ以来となるダービー馬に輝いた。
特に福永祐一騎手とのコンビは強烈で、連勝でデイリー杯2歳S(G2)を制したレッドベルオーブは、朝日杯フューチュリティS(G1)を1番人気で敗戦するなど、これでも順調さを欠いたといえるだろう。他にも京王杯2歳S(G2)2着の実績があるロードマックスが、マイル重賞戦線の常連に。POGとしてはNHKマイルCの5着が光った。
今年の3歳世代を語る上で、須貝尚介厩舎の復活に触れないわけにはいかないだろう。
一時はゴールドシップ、ジャスタウェイの二枚看板で競馬界を席巻した須貝厩舎。しかし、近年はかつての勢いが鳴りを潜めている印象があった。だが、今年は2歳女王のソダシ(第3位)が桜花賞(G1)を制し、ステラヴェローチェ(第6位)が皐月賞&日本ダービーで共に3着と、名門復活を印象付けた。
他にもヴェローチェオロが札幌2歳S(G3)、東京スポーツ杯2歳S(G3)、京都新聞杯(G2)で5着と渋い活躍。ただし、この3頭はクロフネ、バゴ、ゴールドシップ産駒と血統的には主流から外れている。今後もホームランが期待できる一方、三振する可能性も高そうだ。
また、美浦の鹿戸雄一厩舎も一躍脚光を浴びた存在だろう。
ここまで12勝のリーディング50位で関東の中堅という印象が強い鹿戸厩舎にとって、この1年は激動だったに違いない。若き横山武史騎手が惚れ込んだ逸材エフフォーリア(第2位)が皐月賞馬に輝くなど大活躍。鹿戸厩舎の名が全国のファンに注目されたのは、2008年にスクリーンヒーローがジャパンC(G1)を勝った時以来かもしれない。
ただ、厩舎としてはハナ差で敗れたエフフォーリアの日本ダービーも然ることながら、ホープフルS(G1)の逸走で、“二の矢”になり損ねたランドオブリバティには悔いと課題が残ったはず。良くも悪くも厩舎の手腕が注目されたシーズンだった。
一方、期待されたほどの結果が残せなかった厩舎も当然存在する。まずは栗東の友道康夫厩舎に触れておきたい。