JRA重賞「63連敗」岩田望来、ラジオNIKKEI賞(G3)「11/12」抽選でまさかの除外……2年ぶり「福島遠征」に有力馬スタンバイも無念の“空振り”
4日、福島競馬場では3歳馬によるハンデ戦、ラジオNIKKEI賞(G3)が行われる。
フルゲート16頭に対し、18頭が特別登録。このうち唯一、収得賞金が400万円のボーデンが除外の対象だった。
しかし、ハンデ戦には「ハンデ上位3頭(タイの場合抽選)に優先権」という規定がある。56kgで出走のアサマノイタズラとリッケンバッカーを除いた残り1枠の優先権を巡って、55kg組のヴェイルネビュラとシュヴァリエローズとの「1/3」の抽選が行われた。
抽選の結果、ボーデンは見事にこれを突破。“裏技”ともいえる手法で、2度目の重賞レース出走を決めた。
「ボーデン陣営はハンデ抽選を見越して登録に踏み切ったようですね。皮肉にも55kgという決して軽くないハンデが出走を後押しする形になりました。もし55kg未満であれば、抽選にすらならず、除外されていましたからね。賞金的には格下とはいえ、スプリングS(G2)3着の実績もあります。
結局、ヴェイルネビュラとシュヴァリエローズも賞金順で出走できましたが、運も味方につけたボーデンは他の陣営にとって怖い1頭なのは間違いありません」(競馬誌ライター)
一方で、この煽りを受けたのがジュンブルースカイ(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。
週半ばには、登録していた牝馬のネクストストーリーが回避。収得賞金900万円の12頭が11枠を争う抽選となった。そして「11/12」の抽選で除外の憂き目に遭ったのがジュンブルースカイだった。
昨秋には、萩S(L)で2着、東京スポーツ杯2歳S(G3)はダノンザキッドと0秒3差の3着と、同世代の一線級と相まみえてきた実力馬。前走でようやく1勝クラスを勝ち上がり、陣営もここを目標に進めてきたが、まさかの抽選除外という結果に……。
「前走後は一息入れて、しっかりリフレッシュ。今回は3か月ぶりの実戦で、中間の動きも良かっただけに残念でしたね。騎乗を予定していた岩田望来騎手にとっても勝利を狙える馬だっただけに、ゲートインすら叶わなかったのは不運としか言いようがありません……」(同)
今年が3年目の岩田望騎手。同期では断トツとなる通算150勝を挙げ、重賞レースの騎乗機会にも恵まれている。しかし、デビューから重賞レースで積み重ねた負けの数は「63」。他の同期は次々と重賞を勝っており、岩田望騎手も早く重賞重賞勝利の仲間入りを果たしたいところだろう。
19年4月以来、2年ぶりとなる福島遠征。4日の騎乗数は、今年最も少ない4鞍だけ(3月14日、6月5日とタイ)。
前日の3日(土)には小倉で7鞍に騎乗し、最終12Rを終えてすぐに福島への長距離移動が待っていることからも、ジュンブルースカイのラジオNIKKEI賞出走に懸けていたことが窺える。
残念ながら、よもやの“空振り”となり、重賞初勝利はまたもお預けとなったが「渾身の4鞍」でさらなる勝ち星を積み上げてほしいところだ。(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。