JRA「芝挑戦」カフェファラオに待つのは挫折か、新たな可能性か!? 新ダート王が「芝で成功できる」2つの理由とは
1日、今年のフェブラリーS(G1)を制したカフェファラオ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)が18日の函館記念(G3)、来月22日の札幌記念(G2)に挑戦することがわかった。
どちらか一方へ出走するか、両レースともに出走するかは現時点では未定ながら、週末にも函館競馬場へ移動するとのことで、芝レース挑戦が決定的と見られている。
この報道を受け、競馬ファンからは「種牡馬価値を上げるためか」、「地方のダート合わないから、とりあえず芝試してみるのか」など、早くも様々な憶測が飛び交っている。
その中で最も関心が高いのは、カフェファラオが「芝で結果を残せるのか」ということだろう。
長い日本競馬の歴史において、「ダート→芝」の成功例は、「芝→ダート」に比べて少ない。そのため、やはり「芝は合わないのでは」という見解がマジョリティだ。
ただ、本当にダート王カフェファラオは芝では通用しないのだろうか。
同馬の父は、2015年に37年ぶりとなる米国クラシック三冠馬に輝いた世界的な名馬アメリカンファラオである。そのため日本でも、カフェファラオ以外に昨年のジャパンダートダービー(G1)を制したダノンファラオなどもダートで活躍している。
しかし、一方で日本以外のG1制覇はクイーンエリザベス2世チャレンジCS(米G1)、クリテリウム・アンテルナシオナル(仏G1)と、いずれも芝のレースなのだ。
中でも光るのがクリテリウム・アンテルナシオナルで「欧州の芝」に適性を見せているところだ。
カフェファラオが出走を予定している函館記念、札幌記念はいずれも欧州に近い「洋芝」で行われるレースであり、祖父パイオニアオブザナイル産駒には2016年の函館2歳S(G3)を勝ったレヴァンテライオンがいる。アメリカンファラオ産駒の洋芝適性はサンプルが少ないため未知数だが、少なくとも陣営が洋芝のレースを選択した背景には、こういった血統的な要因があるかもしれない。
また、カフェファラオが「芝スタート」である東京1600mで高いパフォーマンスを発揮していることにも注目すべきだろう。
初参戦のヒヤシンスS(OP)こそ、やや後手を踏んだものの、あっさり2、3番手を確保したユニコーンS(G3)や、フェブラリーS(G1)の走りは芝スタートを苦にしていないからこそできる芸当だ。
以上の理由からカフェファラオは芝、特に洋芝ならダート同様力の強い走りができるのではと推測される。果たして、令和のアグネスデジタルとなれるのか。今後もダート王の動向から目が離せない。
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。