JRA今年のプロキオンS(G3)はもはや「原型」なし!? ガラリ一変のメンバーにファンからは戸惑いの声、データ派泣かせの名物重賞に登録した出走馬の意外な顔触れとは
日増しに熱さが加速していく夏競馬も2週目に突入。今週末の重賞は福島競馬場で七夕賞(G3)、小倉競馬場でプロキオンS(G3)の開催が予定されている。七夕賞が福島で開催されるのに対し、例年なら中京で行われるプロキオンSは小倉での開催。コースが替わるため、注意が必要だ。
だが、今年のプロキオンSで注意が必要なのはコース替わりだけではない。
中央競馬のダート重賞路線整備の一環として1996年に新設されたプロキオンSは当時、阪神での開催だった。2012年から中京開催に変更され、昨年は京都競馬場の改修工事の関係で阪神へと“里帰り”。
そして、今年も昨年同様に阪神かと思いきや、JRAが選択したのはまさかの小倉。そして、ダート1400mの条件も小倉に合わせてダート1700mへと大幅な変更が加えられたのである。
とはいえ、1400mという開催条件から察しがつくように、プロキオンSは短距離馬向けのレースという側面が強い。距離が300mも延びれば中距離といっても差支えがないだろう。
過去10年の出走馬の前走距離についても計155頭のうち、147頭が前走でマイル以下のレースに使われていた馬だ。勝ち馬に関しても勿論、マイルを超える距離に出走していた馬からは出ていない。
これを踏まえた上で今年の登録馬を見てみると、やはりというか明らかにこれまでのプロキオンSとは違和感のあるメンバーが揃った印象である。
各馬の前走距離は1600m以下が10頭しかいないのに対し、1800m超以上の馬は13頭とシェアが大逆転。むしろ、前走で1200mや1400mに使われていた馬は、陣営が小倉のダート1700mに変更された事実を見落としていたのではないかと思えるほどだ。
これには一部のファンからも、ネットの掲示板やSNSで「やる意味あるの?」「絶対気付いてない調教師いるよね」「もうちょっと何とかならなかった?」といった戸惑いの声も聞かれた。
しかし、プロキオンSが短距離重賞ということを考えると、中距離寄りのダート1700mでは、もはや原型を留めていないように感じてしまうのは気のせいだろうか。
確かに中京が使えない以上、仕方のない部分もある。
そもそも小倉の場合、ダートコースが1000mと1700mの二択しかないという事情を考慮すると、プロキオンSが行われる1400mから400mの距離短縮より、300mの距離延長の方が妥当ということなのかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。