JRA若手騎手「遺恨勃発」大暴走……!? 秋山稔樹「ハナを取り切れなかったのが痛かった」、坂井瑠星「2番手に必要以上に競られて残念」函館記念(G3)は今年も大波乱

撮影:Ruriko.I

 18日、函館競馬場で行われた函館記念(G3)は、2番人気のトーセンスーリヤ(牡6歳、美浦・小野次郎厩舎)が3馬身差の完勝。14番人気のアイスバブルが2着、12番人気のバイオスパークが3着となり、荒れる函館記念らしく三連単は20万馬券となった。

「周りがサーッと流れてくれたんで、(トーセン)スーリヤとリズム良く。イメージ通りでしたね」

 レース後、そう声を弾ませた横山和生騎手は、これが嬉しい2021年の重賞初勝利。トーセンスーリヤとのコンビでは、昨年の新潟大賞典(G3)に続く重賞2勝目と、改めて相性の良さを知らしめた。

 一方、勝ち馬に「イメージ通り」の流れを作ってしまったのが、24歳の坂井瑠星騎手と、19歳の秋山稔樹騎手という若手2人だったようだ。

「びっくりしました。レッドジェニアルって後方から差すイメージの馬だったんですけど……」

 そう驚きを隠さなかったのは、レース中継を行った『みんなのKEIBA』(フジテレビ系)に出演していた元JRA騎手の細江純子さんだ。細江さんの言葉通り、ここ3走が13番手、11番手、15番手からの競馬だったレッドジェニアルだが、鞍上の坂井騎手の判断でまさかの逃げ。レースは、誰もが予想しなかった波乱の展開で幕を開けた。

 そこに絡んでいったのが、元々先手を奪うつもりだったマイネルファンロンと秋山稔騎手だ。思わぬ奇襲を受けたマイネルファンロンだったが、レッドジェニアルの動きに即座に反応。2頭が横並びになって1コーナーへ飛び込んだ。

 一方の坂井騎手も奇策に出た以上、ここは何としてもハナを奪い切り、レースの主導権を握りたかったのだろう。グングン加速して後続を引き離しにかかるが、マイネルファンロンと秋山稔騎手も譲らない。

 結局、2頭が刻んだペースは、1000m通過が過去10年の函館記念で最速となる58.5秒というハイペース。こうなっては逃げ馬にとっては万事休す……そして、離れた3番手からそんな2頭をしめしめと見ていたのがトーセンスーリヤと横山和騎手だった。

「今年の函館記念は前走で逃げた馬がおらず、これといった逃げ馬が不在。前走の巴賞(OP)を2番手から粘り込んだマイネルファンロンが押し出されるようにハナに立つ、どちらかと言えばスローペースが予想されていました。

しかし、フタを開けて見ればレッドジェニアルがまさかの逃げ。スタートはいつも通り一息だったんですが、大外枠からのスタートだったので周りに馬がおらず、そこから一気に加速してハナを奪いました。

一方のマイネルファンロンは2頭が競り合う中で『これはさすがにマズい』と思ったのか、途中から秋山稔騎手が抑えにかかりました。ですが、完全に勢いがついた相棒を御し切れず……結局、玉砕戦法のようなハナ争いになってしまいました。本人も『馬が元気過ぎたのか、引っ掛かって……』と残念そうでしたね」(競馬記者)

 レース後、14着に大敗したマイネルファンロンの秋山稔騎手が「ハナを取り切れなかったのが痛かった」と言えば、15着のレッドジェニアルの坂井騎手も「2番手(マイネルファンロン)に必要以上に競られてオーバーぺースになった。残念です」と憤りのコメント。

 先月の宝塚記念(G1)では、伏兵のユニコーンライオンで逃げを打ち、2着に粘り込む好騎乗を見せた坂井騎手だったが、今回は後輩の秋山稔騎手に絡まれる不測の事態になってしまったようだ。

 しかし、一方の秋山稔騎手は自分がハナを奪おうとしたところを、先輩に奇襲された形……両者の遺恨が生まれないことを祈るばかりだ。(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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