JRA石橋脩「楽でした」ミッキーブンブンはまるでディープインパクト!? 回って来ただけで馬群一蹴に「距離は延びてもいい」菊沢師も太鼓判
もしかしたらかなりの大物かもしれない。
18日、福島競馬場で行われた5Rの2歳新馬戦は、石橋脩騎手がコンビを組んだミッキーブンブン(牡2、美浦・菊沢隆徳厩舎)が優勝。1番人気に応えて、見事にデビュー勝ちを飾った。
同馬はハービンジャー産駒で母父ディープインパクトという血統。ブラストワンピースやペルシアンナイトらのG1馬を輩出した父に、産駒がクラシックレースで圧倒的強さを誇った母父なら期待が大きくなるのも当然だ。
そんなミッキーブンブンのデビュー戦は、ハービンジャーよりディープインパクトを彷彿させる鮮やかな勝利だったといえるだろう。
フルゲート16頭立てで行われた芝1800mのレース。無難なスタートを決めたミッキーブンブンは13番手と後方待機策。折り合い重視の新馬戦ということもあって、これといったポジション争いもなく、展開は淡々とした流れ。
逃げたブレスバイルーラーの刻んだラップは、途中で13秒5も含まれる1000m通過62秒4のスローペース。それでも馬群は縦長になり、後ろから競馬をするミッキーブンブンは、包まれずに走ることができた。
だが、3コーナー手前から徐々に各馬の動きが激しくなり、ミッキーブンブンも徐々に進出して7番手までポジションを押し上げる。そして、最終コーナーでは早くも外の3番手に取りつくと石橋騎手はゴーサイン。
一足先に抜け出しを図ったミヤコプレジールを直線で競り落とすと、3馬身の差をつけてゴール板を駆け抜けた。
回って来ただけのようにも見える圧勝劇に、手綱を取った石橋騎手は「能力があるし、楽でした」と楽勝を強調。管理する菊沢師も「距離は延びてもいい」と手応えを掴んだようだ。
「見た目以上に内容は濃かったと思います。逃げた馬が3着に粘りこんだスローペースだったこともあって、後ろからの競馬で好走したのは勝ち馬だけでした。しかも、後半の800mからは一転して、12秒台前半が連続した厳しい展開でした。
勝ち切るには長くいい脚を要求されることは勿論、スタミナの裏付けがなければ、脚が止まります。これを軽くまくって、最後は加速ラップとなる唯一の11秒台で駆け抜けた訳ですから。相当に力の差がなければ、出来ない芸当です」(競馬記者)
リーディング上位騎手が、小倉や函館に集中していたため、福島デビューは盲点となりやすかったかもしれない。余裕の手応えで2着馬とは3馬身、3着馬はさらに6馬身も後方に置き去りにされたミッキーブンブンのレース内容は決して他場の評判馬たちに引けを取らないだろう。
次走でも注目必至の1頭となるのではないか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。