JRA M.デムーロ「なぜ下げた」から約8カ月……ジェンティルドンナ弟・メトセラに“汚名返上”の使命!? 新潟新馬戦で「G1・2勝コンビ」がついに復活!
今もなおコロナ禍の最中であるが、今週いよいよ東京オリンピックが開幕する。
21日には開会式に先がけて、女子サッカーなどの競技がスタート。オリンピック開催への対応および暑さ対策の観点から、中央競馬は函館と新潟の2場開催で行われる予定だ。
今週は重賞がアイビスSD(G3)のみと寂しい感じはあるが、新潟の新馬戦からは後のG1馬が多数誕生。JRA芝G1最多勝を誇るアーモンドアイを筆頭に、オルフェーヴル、ロジャーバローズのダービー馬を含め、ジャスタウェイ、サトノアラジン、ラッキーライラックなど多くの活躍馬が、新潟からデビューした。
そんな夏の新潟新馬戦で、今週大きな注目を集めそうなのがメトセラ(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
同馬の母はドナブリーニで、姉にはジャパンC(G1)などG1を7勝したジェンティルドンナがいる。
父も母と同じくG1を7勝したキタサンブラックで、18日に行われた小倉2R(2歳未勝利)で産駒が初勝利。2019年のセレクトセール当歳セッションで1億7280万円(税込)と高額取引された同馬も、期待は高まるばかりだ。
鞍上にはM.デムーロ騎手が予定されており、矢作芳人調教師とのコンビは意外にも今年初。昨年以来の騎乗で、ジョッキーも“汚名返上”に気合が入るところだろう。
というのも、昨年の有馬記念(G1)では矢作調教師が管理するラヴズオンリーユーに騎乗した際、10着と惨敗した内容が物議を醸したからだ。
「スタートが速いので前へ出たい」
そのように語ったデムーロ騎手であったが、いざレースが始まってみると好スタートを切るも中団待機。スタート後、追っ付けていくどころか抑え気味に手綱を引っ張り、勝負所の3コーナーでは後方から外を回る競馬で敗れた。
先頭でゴールを駆け抜けたのは、1番人気のクロノジェネシス。2着には11番人気のサラキア、さらにラッキーライラックが4着、カレンブーケドールが5着(同着)と牝馬5頭のうち実に4頭が掲示板に載ったが、牝馬で唯一掲示板を外したのがラヴズオンリーユーだった。
先行宣言をしたはずのデムーロ騎手だったが、想定外の騎乗にSNSなどでも一部のファンから「なぜ下げた」という失望や不満の声も出た。レース後、デムーロ騎手は「馬場が良くなくて、特に内が悪いので、4頭分外を走りたかった。ただ、外からのプレッシャーがきつくて出せませんでした」と語った。
「昨年の有馬記念は日曜日に馬場が一変し、外伸び馬場になっていました。実際に上位3頭は道中外目を進んでいましたし、ラヴズオンリーユーは2枠4番でしたから、結果的に有馬記念で例年なら有利とされる内枠がかえってアダとなってしまいましたね。
それでも好スタートを切ったのですから、矢作師にも『もう少し何かあったんじゃないか……』という気持ちがあったのかもしれません。今回の新馬戦では久々のコンビとなりますが、厩舎期待の良血馬です。デムーロ騎手にも期待していると思いますよ」(競馬記者)
過去にはグランプリボスで朝日杯FS(G1)を勝利し、ラヴズオンリーユーでも一昨年のオークス(G1)を制したコンビ。再結成した2人とともに、メトセラがG1戦線に駆け上がることを期待したい。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。