クロノジェネシスが挑む凱旋門賞(G1)に新たな強敵登場!スノーフォールだけでなく、ダービー&キングジョージ連勝のライバルはいずれも3歳馬
10月3日、フランス・パリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1)に出走を予定しているクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)の鞍上がオイシン・マーフィー騎手に決まった。
これに対し、マーフィー騎手は自身のTwitterで「クロノジェネシスと共に凱旋門賞へ挑戦できることとなり、非常に楽しみです。日本の為にベストを尽くします」と意気込んだ。
同馬は、現在ノーザンファームしがらきで調整を続けている。9月中旬から下旬頃に出国しフランスへ移動し、フランスのシャンティイに滞在する予定だ。前哨戦は使わずぶっつけ本番で凱旋門賞に挑むことが発表されている。
グランプリ3連覇中と国内では絶対女王となっているクロノジェネシスだけに、日本競馬の悲願といわれる凱旋門賞初制覇を達成してくれるのではと、ファンや関係者からの期待は大きい。同馬父のバゴは04年凱旋門賞優勝馬ということで、血統的にも走る下地は揃った。
しかし、過去に日本の何頭もの強豪馬が凱旋門賞の高い壁に阻まれてきたことも事実。そのため、今年も日本馬クロノジェネシスの前に欧州強豪馬がライバルとして立ちはだかるだろう。その中でも、特に警戒したいのが、この時期伸び盛りの3歳馬だ。
1頭目がスノーフォールだ。2歳時は1勝止まりだったものの、年が明けて一気に覚醒。今年初戦のミュージドラS(G3)で初重賞制覇を達成すると、次走の英オークス(G1)ではレース史上最大着差16馬身差の圧勝を飾った。さらに17日には愛オークス(G1)へ出走し、8馬身半差で優勝。史上15頭目の英愛オークス優勝を成し遂げた。
同馬は、A.オブライエン厩舎の馬でアイルランド調教馬。しかし、生産は日本のノーザンファームで父は日本最強馬と名高いディープインパクト。日本生産馬が、日本競馬悲願の凱旋門賞優勝最大の障壁になり得るのは、少々複雑な思いだ。
現時点での凱旋門賞の大手ブックメーカーオッズでは、スノーフォールが断然1番人気。そして、同ブックメーカーで2番人気に推されているのも同じ3歳馬のアダイヤーである。
こちらもスノーフォール同様に2歳時は目立った活躍はなし。明け3歳になるとトライアル競走を2戦連続2着と好走し軌道に乗ると、本番の英ダービー(G1)を優勝した。
その勢いは歴戦の古馬をも飲み込んだ。次走の24日、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)では、G1通算5勝で1番人気のラブ、3月のドバイシーマC(G1)でクロノジェネシスに競り勝ったミシュリフらを相手に快勝。
アローワンスの関係で古馬より4キロ程度軽い斤量を背負っていたため、3歳馬が有利だったともいえるだろう。とはいえ、強力古馬と初対戦でいきなり勝利を収めただけに、同じくアローワンスが適用される凱旋門賞に出走するとなれば当然優勝候補となるだろう。
歴代の凱旋門賞を振り返ると、最も優勝回数が多いのは3歳馬という傾向も後押しとなる。対して、クロノジェネシスの5歳は過去8頭しか勝利しておらず、牝馬に限定すると1頭しかない。近代最強牝馬の一角として名高いエネイブルでも、3連覇を目指した5歳時の凱旋門賞では2着に敗れただけに分が悪い。
クロノジェネシスの相手はラブだけかと思われていたが、次から次へとライバルが出現しつつある。果たして、強力なライバルら相手にどのようなレースをしてくれるのか。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。