エアスピネルが1週前追い切りで好時計!「新マイル王」襲名に向け、難敵揃いの東京新聞杯(G3)は試金石の一戦
だが、最終的な着差はハナ差だった。ある程度底が見えているブラックスピネルにぎりぎりまで追い詰められた”薄氷の勝利”は「超一流のマイラーになれる器」と考えていた人々にとっては物足りない結果だったのかもしれない。
しかし、その一方でこの勝利を高く評価する声もある。
まず、挙げられているのは京都金杯がハンデ戦だったことだ。ハナ差とはいえ、ブラックスピネルのハンデが55㎏だったことに対して本馬は56.5㎏。この1.5㎏は決して小さなものではない。
さらにブラックスピネルが順調に使われてきたことに対して、エアスピネルは10月の菊花賞(G1)以来、それも前走の3000mから大幅に距離短縮された約1年ぶりのマイル戦だったことも見逃せない要素だろう。
そして、このレースが先行勢にとって厳しい展開となったことも、好位から競馬したエアスピネルの評価をさらに押し上げている。
勝ちタイムの1:32.8は、ウインフルブルームが逃げ切った一昨年の京都金杯とまったく同じだが、このレースのスタートから3ハロンが35.6秒だったことに対して、今年は33.9秒。
これは過去10年で2番目に速い時計であり、今年と0.1秒差で最も速い2012年はスタートからシルポートが33.8秒で飛ばし、最終的には前の馬に7馬身差の最下位に沈んでいる。これだけを見ても、今年の京都金杯が先行勢にとって如何に厳しい流れだったのか、ある程度の目安にはなるだろう。
無論、だからといってエアスピネルが「超一流のマイラー」と言い切るのは早計だ。例えば、もしも先日引退したモーリスが同じ条件で同じようなレースをすれば、ここまで苦戦はしなかった可能性が高い。