JRA泥沼「8連敗」リーディングジョッキーの立場なし!? 期待馬「独占」川田将雅&福永祐一と明暗、勝てないC.ルメールが“リアル夏休み”に突入か
ただ1人、3桁台の勝利数を挙げ、全国リーディングを独走しているC.ルメール騎手。夏休みを取っても川田将雅騎手や福永祐一騎手との差は依然として大きく、このまま今年のリーディングも“当確” の雰囲気だ。
暑さが苦手なことで知られるルメール騎手は、今年も北海道での騎乗に終始。クイーンS(G3)の勝利で、JRA全10場重賞制覇の偉業もこれでリーチとなった。残すところは小倉競馬場のみとなったが、暑さ嫌いなだけにあえて小倉に遠征してまで記録に挑戦するかどうかも怪しいところ。
“休み明け” でもクイーンSをテルツェットで制し、ライバル騎手に格の違いを見せつけた名手だが、北海道開催がすべて順風満帆という訳でもない。
函館から札幌開催に替わった14日だが、またしても連敗をストップできなかった条件が、2歳新馬戦である。
このレースでルメール騎手は、リンクスルーファス(牝2、美浦・手塚貴久厩舎)に騎乗。2番人気に支持されたものの、追走に手一杯のまま先行争いから脱落。これといった見せ場もなく5着に敗れてしまった。
勿論、これは馬の能力が足りていなかったとも考えられ、“ルメール人気” が先行しての結果だったといっても過言ではないだろう。
その一方、北海道開催中のルメール騎手が、新馬戦で未勝利が続いていることは、そろそろ目立ち始めている。先の函館では上位人気馬ばかりに騎乗しながらも、【0.3.0.4/7】の7戦全敗、そして札幌開催となったここでも敗れたため、ついに2歳新馬で泥沼の8連敗となった。
夏休みはもう終わったはずだが、少なくとも2歳新馬の条件に関しては、“リアル夏休み”が継続中といった状況である。
そんな北海道のルメール騎手に対し、2歳新馬で勝ち星を荒稼ぎしているのが、新潟の福永祐一騎手と小倉の川田将雅騎手だ。こちらは土曜の2歳新馬をそれぞれミント、サンディブリッジといった1番人気馬でしっかりと勝利。
2歳新馬に限定すると、土曜の勝利を加えて福永騎手は8勝、川田騎手は6勝の絶好調。3位以下の騎手に大きな差をつけている。ここまで来ると、2歳新馬はもはや福永と川田の両者が勝利を独占しているともいえそうな様相だ。
本人も公言しているように、ルメール騎手が秋競馬から調子を上げていくのは“平常運転”かもしれないが、2歳馬の手駒が手薄になるのは歓迎できない。昨年はエフフォーリアが札幌でデビューしたが、今年も大物が潜んでいるかどうか。
期待馬を優先的に任されるルメール騎手だが、相手が同じくトップクラスでは、“強奪”も期待薄。このまま2歳戦で“収穫なし”の状況が続くようだと、秋の巻き返しに苦戦は免れないかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。