JRAラヴズオンリーユーVSソダシ「二強」決着は望み薄!? 札幌記念(G2)大本命に立ちはだかる「共倒れ」のシナリオ
22日に札幌競馬場では札幌記念(G2)が開催される。秋のG1戦線を視野に入れたトップクラスの集まるレースだけあって、登録13頭中にG1馬4頭。9頭が重賞ウィナーという好メンバーが揃った。
『netkeiba.com』の予想オッズでは、G1・2勝馬ラヴズオンリーユー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)が1.8倍、続いて今年の桜花賞馬ソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が2.7倍となっている。3番人気のブラストワンピース(牡5歳、美浦・手塚貴久厩舎)は10.9倍と2頭から大きく離されており、下馬評的には「二強ムード」の雰囲気が漂っている。
その一方で、「両雄並び立たず」という言葉もあるように、競馬である以上は必ずどちらかが敗者になる。戦前に一騎打ちと見られたレースでも、ワンツー決着で収まるケースもあれば、敗れた馬が馬券圏外に完敗したり、最悪2頭とも凡走することも珍しくはない。
そういう意味でも今年の札幌記念は、思わぬ波乱の決着となる可能性もあるのかもしれない。
これを裏付けるのが過去10年、1番人気馬が1勝しかしていない歴史だ。なにしろ11年にトーセンジョーダンが勝利して以来、1番人気は9連敗中。14年ゴールドシップ、16年モーリス、20年ラッキーライラックのように単勝オッズ1倍台の断然人気ですら軒並み敗れている。
最終オッズではないにせよ、同じく1倍台が予想されているラヴズオンリーユーにとっても、1番人気が苦戦していることは懸念材料だろう。
また、ラヴズオンリーユー自身にも危険なデータがある。
4月に香港のクイーンエリザベス2世C(G1)を勝利したラヴズオンリーユーだが、今回は4カ月の休み明け。同馬が古馬と対戦するようになってから、19年エリザベス女王杯(G1)は3着、20年ヴィクトリアマイル(G1)は7着、20年府中牝馬S(G2)は5着と、いずれも敗れている。「3ヶ月以上」の休養明け初戦全て黒星を喫していることは、歓迎できないだろう。
苦手と考えられる休み明けに加えて、11月には米国のデルマー競馬場で行われるブリーダーズCフィリー&メアターフ(G1)へも参戦予定。春に海外遠征を2度も敢行した疲れもあれば、次走を見据えたこのレースにいきなり万全の仕上げで出走してくるとも思えない。
そして、対抗格と目されるソダシにも同じく不安材料が存在する。8着に敗れたオークス(G1)のレース後、鞍上の吉田隼人騎手は敗因の1つに、「距離の壁」を挙げている。芝2400mから距離は縮まるとはいえ、ソダシはクロフネ産駒。同産駒には「2000m以上の平地重賞未勝利」という致命的なデータがあるだけに、1ハロン長い2000mの舞台がどうか。
果たして、今年の札幌記念は「二強」で決まるのか。はたまた、どちらか、それとも共に崩れるのか。週末の札幌記念は目が離せないレースとなりそうだ。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。