JRA 「1400キロ移動」鬼ローテーション馬の異変見逃さず! 双子ジョッキーの「ファインプレー」に称賛の声

 今年1月から行われてきた「3歳未勝利戦」も残すところあと2週のみとなった。19年から秋競馬における「3歳未勝利戦」が廃止されたため、夏競馬の終了イコール「3歳未勝利戦」も終了ということになる。

 未勝利馬は9月以降、出走できるレースが限られているため、地方競馬へ移籍してチャンスを待つケースも多い。そのため、夏競馬の「3歳未勝利戦」はJRA生き残りをかけた “サバイバルバトル”と言っても過言ではないだろう。

 それゆえ、この時期の「3歳未勝利戦」は、関係者の勝利への意欲が強く、厳しいローテーションで出走する馬も少なくない。

 21日に行われた小倉4R・3歳未勝利戦(芝1800m)では、ライム(牡3歳、栗東・大根田裕之厩舎 )が連闘で出走した。

 ライムは昨年9月の新馬戦で6番人気ながら2着へ好走。2戦目は3番人気に推されるなど勝ち上がりを期待されたが、その後は3着が4度あるのみで白星を掴んでいない。4月に約4ヶ月ぶりの休養から復帰すると、今月15日まで6戦出走。特に7月と8月で3戦出走しており、今回が4戦目だ。

 出走回数や間隔だけを見れば、他の未勝利馬にもよく見られるローテーションだが、ライムが他馬と違う点はその「移動距離」にある。関西馬であるライムの小倉遠征は、問題ないように思えるが、前走は札幌競馬場でのレース。ライムは遠く離れた北海道から九州の小倉競馬場へ輸送され、かつ連闘で出走してきた。

 約1400キロの長距離を移動しての連闘という強行軍で使われたライムの馬体は前走比マイナス16キロと大きく減少。自身過去最低馬体重での出走ということもあり、ネット上の競馬ファンからは状態面に関して心配の声が上がったのも無理はない。

 事実、ファンの危惧は現実となった。ライムは馬場入場後に、右前肢を跛行し負傷していたという。

 しかし、鞍上の国分優作騎手はこの異常を見逃さなかった。パートナーの馬体検査を申告し、検査が行われた結果、競走除外で事なきを得たのである。

 双子の「国分兄弟」の兄である国分優騎手はライムの新馬戦など、これまで5戦騎乗しており調教でも何度か跨ったことがある。だからこそ、歩様の乱れに気付いたのかもしれない。国分優騎手のファインプレーにネット上のファンからも称賛の声が上がっていた。

 今回の負傷でライムの未勝利戦突破は現実的に厳しくなったことは間違いないが、地方競馬へ移籍し勝ち星を重ねることができれば、再度JRAへの復帰資格を得られる。

 いつの日か万全の状態で、ライムが国分優騎手と再コンビ結成が実現することに期待したい。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

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