JRA父ディープインパクトを彷彿とさせる7馬身差のレコード圧勝! 「強い勝ち方でした」クロノジェネシス厩舎から超大物登場か
28日、小倉競馬場で行われた2R・2歳未勝利(芝2000m)は、1番人気のキラーアビリティ(牡2歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が7馬身差で圧勝。従来を1.7秒も更新するスーパーレコードでド派手な初勝利を飾った。
「強い勝ち方でした」
レース後、鞍上の岩田望来騎手の声が弾むのも当然だろう。9頭立て、芝2000mのレースで単勝1.5倍に支持されたキラーアビリティ。まずまずのスタートを決めると、「前半は力んでいたけど、落ち着かせたら、いい感じで折り合っていました」との言葉通り、岩田望騎手は行きたがる相棒を抑えて後方からの競馬を選択した。
「スパートをかけたら、すごくいい走りでした」
圧巻だったのは、残り400mを切ってからだ。大外から先頭集団に並びかけたキラーアビリティは、岩田望騎手のゴーサインに応えて一気にスパート。あっという間に後続へ絶望的な差を突き付けると、最後は7馬身差をつけて圧勝した。
「ちょっとここではモノが違い過ぎましたね。最終コーナーで大外を回るなど大味な競馬でしたが、それも岩田望騎手が馬の力を信じているからこそでしょう。最後までノーステッキでしたが、ラスト1ハロンの10.8秒が示す通り、その瞬発力は同世代でも屈指の存在だと思います。
前年にダノンザキッドが勝ち上がるなど、例年素質馬が集う宝塚記念(G1)当日の新馬戦で2番人気に推された馬。デビュー戦こそ5着でしたが、C.ルメール騎手×斉藤厩舎は同日の宝塚記念を勝ったクロノジェネシスと同じ。陣営の期待も相当高い馬ですが、今回はその期待に違わぬ走りでしたね。一昨年に他界した父ディープインパクトを彷彿とさせるような豪快な競馬でした」(競馬記者)
父譲りの切れ味も然ることながら、勝ち時計1:59.5は2015年に記録された小倉芝2000mの2歳レコードを1.7秒も更新。全体でも中山の1分58秒9に次ぎ、2位タイという好記録だ。
「レコードが出たように1000m通過が60秒ジャストという、この時期の2歳新馬としてはタイトなペース。各馬がしっかりと走ることで力の差が出やすいレースになったことも、最後の7馬身差につながったと思います。
芝1800mのデビュー戦でも前半に力むところを見せて、騎乗したルメール騎手から1600mくらいの方が良さそうという話もありましたが、2戦目で折り合い面に心境を示せたことも大きいですね。まだ課題はありますが、今日の走りができればもう少し距離が延びてもカバーできるかもしれません。父ディープインパクトに、母キラーグレイシスは米国のG1馬。元から前評判の高かった馬だけに来年のクラシック戦線で見たい馬です」(同)
また、鞍上の岩田望騎手は今年もここまで48勝を挙げるなど乗れる若手の1人だが、未だ重賞勝ちに恵まれていない。いきなりレコード勝ちと“衝撃”的な出会いを果たしたキラーアビリティが、若手有望株へ待望の重賞をプレゼントする存在になるかも注目したい。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。