JRA【新潟記念(G3)展望】「遺恨勃発」ザダル石橋脩VS戸崎圭太!ローテーション「過酷」ショウナンバルディに余力はあるか?
夏の新潟競馬を締めくくるのは9月5日に行われる伝統のハンデ重賞、新潟記念(G3)だ。今年は、8か月ぶりの実戦でエプソムC(G3)を制したザダル(牡5歳、美浦・大竹正博厩舎)が主役を務める。
自身5度目の重賞挑戦で念願のタイトルを獲得したザダル。+12kgの馬体重通り、成長したところを見せつけた。レースは好スタートから中団で折り合うと、直線で末脚を伸ばしゴール前でサトノフラッグと激しい追い比べ。最後はクビ差凌いだものの、ザダルが斜行したことで2着サトノフラッグの進路が狭くなる事象も発生した。
さらにザダルに騎乗した石橋脩騎手の左ムチがサトノフラッグの顔に当たる勢いで、戸崎圭太騎手が追い辛くなる場面も……。審議対象にはならなかったが、後味の悪い一戦になったのは間違いない。
「直線での両馬の脚色からサトノフラッグが差し切っていてもおかしくなかったと思います。サトノフラッグを管理する国枝栄調教師もレース後、『進路が狭くなった……』と嘆いていました。サトノフラッグは今回出走しませんが、戸崎騎手はショウナンバルディで騎乗を予定しています。
ザダルと石橋騎手相手に期するところはあるでしょう。一方、石橋騎手としては今度こそ文句なしの勝利を決めたいところだと思います」(競馬記者)
ザダルは前走後、ノーザンファーム天栄に放牧に出され、ここを目標に調整されてきた。2年前の菊花賞(G1)でも穴人気した素質馬が重賞2連勝で、秋の飛躍を誓う。
エプソムCで悔しい思いをした戸崎騎手。新潟記念にはショウナンバルディ(牡5歳、栗東・松下武士厩舎)との初コンビで臨む。
この1年間はほぼローカルの芝2000mを走ってきたショウナンバルディ。オープンに昇級した直後は不振に陥った時期もあったが、5月以降は都大路S(L)3着、鳴尾記念(G3)2着、七夕賞(G3)3着、そして小倉記念(G3)5着と堅実に走っている。
ただし、気になるのはショウナンバルディの使い詰めのローテーションだろう。デビューした19年3月から約2年半で早くも23戦目。3か月以上の間隔を空けたことは一度もなく、特に昨年末以降はほぼ毎月のようにレースに出走している。今回は前走から中2週で新潟への遠征競馬。厳しい暑さが続くなか、果たして余力は残っているだろうか。
一方、重賞2勝の実績馬トーセンスーリヤ(牡6歳、美浦・小野次郎厩舎)は今年5戦目、前走の函館記念(G3)からは中6週とゆとりのローテーションだ。
前走は上位人気が拮抗するなか、2番人気に支持された。道中は好位を進むいつも通りの競馬。直線早めに抜け出すと最後は2着アイスバブルに3馬身差をつけ、昨年5月の新潟大賞典(G3)以来となる重賞2勝目を飾った。
横山和生騎手とのコンビは通算「4-2-1-5」と相性抜群。今回はトップハンデが濃厚だが、前走の出来をキープしていれば上位争いは必至。勝てば文句なしで『サマー2000シリーズ』優勝を手中に収めることになる。
百戦錬磨の古馬3頭に挑むのはラーゴム(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。今年2月のきさらぎ賞(G3)を制し、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)にも出走したが、どちらも2桁着順の大敗を喫した。英気を養って迎える3か月ぶりの実戦。池添謙一騎手とオルフェーヴル産駒の新コンビに注目だ。
この他には、昨年のエリザベス女王杯(G1)以来、4戦ぶりに川田将雅騎手が手綱を取るリアアメリア(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)、末脚確実で横山典弘騎手も惚れ込むクラヴェル(牝4歳、栗東・安田翔伍厩舎)、4勝中3勝を新潟で挙げ、特に2000mでは2戦2勝というコース巧者のパルティアーモ(牝5歳、美浦・池上昌和厩舎)などが出走を予定している。
エプソムCで禍根を残した石橋騎手と戸崎騎手の一騎打ちとなるのか。それともトーセンスーリヤが重賞2連勝を果たすのか。斤量設定にも注目の新潟記念は9月5日15時45分に発走予定だ。