JRA武豊「ケロッとしていました」ドウデュース辛勝でも手応えあり!? 着差以上に開きのあった実力、ハーツクライ産駒の大物を侮れない理由
5日、小倉競馬場で行われた5Rの2歳新馬(芝1800m)は、武豊騎手が騎乗した1番人気ドウデュース(牡2、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。単勝オッズ1.7倍の断然人気に応え、デビュー勝ちを飾った。
同馬は米G1のBCフィリー&メアスプリント2着のほか、G2とG3をそれぞれ勝利したダストアンドダイヤモンズを母に持つ良血馬。先日、種牡馬引退が発表されたハーツクライの産駒でもあり、大きな注目が集まっていた。
「レース後もケロッとしていました。楽しみですよ」
武豊騎手が会心の勝利をそう振り返ったように、見た目以上に手応えは楽だったのかもしれない。
ゴール後には笑顔の武豊騎手と、落ち込んでいる松山弘平騎手の姿も見られたレース。2着に下した相手ガイアフォースは、かつて武豊騎手が主戦を任されたG1・7勝馬キタサンブラック産駒でもある。上位2頭の叩き合いから3着馬が3馬身遅れて入線したことも、能力の高さの裏付けとなりそうだ。
「武豊騎手が『素質がありそう』と評したのも納得の勝ちっぷりでした。このレースは、前半1000mが63秒7という超スローの展開。これを終始2~3番手の好位につけていた松山騎手には絶好の流れでした。
敗れたガイアフォースも上がり3ハロン34秒3の脚を使っており、通常なら完全な勝ちパターンです。にもかかわらず、後ろから来たドウデュースに交わされた訳ですから、松山騎手としては誤算だったでしょう」(競馬記者)
特筆すべきは、レースの上がり3ハロンのラップの中身だ。
1ハロンごとのラップを見ると、11秒8-11秒4-11秒1でゴールに近づくほど速くなっている。つまり、これは叩き合いを演じた2頭どちらにもまだ余力が残っていたということを意味する。後ろからの馬にとって、バテた馬を交わすことは容易でも、この場合はいずれも伸びている状況である。そのため、前の馬を捕らえるには、必然的に相手の末脚をさらに上回る必要がある。
ところが、これをあっさりやってのけたのがドウデュース。武豊騎手が笑みをこぼし、“勝ちパターン”だったはずのレースを落とした松山騎手が、渋い表情をしていたのも頷ける。ドウデュースが、いかに強い内容の走りだったのかも伝わるレースだった。
また、キーファーズの所有馬に友道厩舎所属のハーツクライ産駒と武豊騎手という組み合わせは、昨年のクラシック候補だったマイラプソディと同じチーム。デビューから無傷の3連勝で重賞を制した先輩は、4戦目の共同通信杯(G3)を敗れて以降、精彩を欠いている。
まずは、前途洋々の船出となったドウデュースだが、こちらはどこまで連勝を続けることが出来るか。
次走でも注目したい大物候補だ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。