JRA 川田将雅「想定したよりも、遥かに良い内容」優しいコメントが逆に……桜花賞馬ハープスターの仔は初戦3着発進も、早くも心配される「あの馬の二の舞」
12日、中山競馬場で行われた芝1600mの2歳新馬戦は、池添謙一騎手の2番人気オルコスが、2番手追走から抜け出して勝利。新種牡馬ドレフォンの産駒は、この週4勝の固め打ちで2歳種牡馬賞金ランキング・勝利数で共に首位に立った。
一方、単勝2.5倍の1番人気に支持されるも、勝ったオルコスからクビ+半馬身差の3着に敗れたのが、川田将雅騎手が騎乗したライラスター(牡2歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)だ。
同馬の母は2014年の桜花賞(G1)を制覇、その年の凱旋門賞(仏G1)にも出走して6着だったハープスター。父は国内外でG1・6勝、13年のJRA年度代表馬ロードカナロア。クラブ法人・キャロットファームにて総額1億円で募集されている、まさに一点の曇りもない、期待の超良血馬である。
レースは母の主戦も務めた川田騎手が、初めてハープスターの産駒に騎乗するという点でも話題となった一戦。6枠11番からスタートして、道中は中団のやや外目を追走。4コーナーで外を回して先団に取り付いたが、最後の直線では前を行く2頭を捕まえることができずに3着と惜敗した。
「この日の中山は開幕週でインが圧倒的に有利な馬場状態。勝ったオルコスと2着のニシノメグレスは終始内目を追走していました。ライラスターは4コーナーで4、5頭分、外目を回した分だけ最後に届かなかった印象です」(競馬誌ライター)
結果的に1番人気を裏切る敗戦となってしまったが、乗っていた川田騎手はそれほど悲観もしていない様子だ。レース後「調教から想定したよりも、遥かに良い内容だった。現状できる精一杯のレースはできたと思う」とコメント。これからの成長、未勝利戦での折り返しVに期待といったところだろうか。
ただ、新馬戦で好走したからといって、そう楽観視はできないのかもしれない。
昨年デビューしたアークライトはハープスターの全弟、ライラスターの叔父に当たる血統で、美浦の藤沢和雄厩舎という期待馬だった。デビュー戦はライラスターよりも1つ上の2着だったが、折り返しの未勝利でも2着。その後も常に人気は集めるものの敗戦を重ね、先週行われた最後の未勝利戦でも13着と大敗……。
ライラスターと同じキャロットファームで、募集総額は1億2000万円の期待馬。藤沢和厩舎の最後のダービー馬候補とも言われていたが、結局未勝利を勝ち上がることができず、今後の進路が不透明な状態となっている。
「アークライトも次は勝てると毎回のように言われていましたが、ズルズルと敗戦を重ねた結果、1度も勝てないまま未勝利戦が終了してしまいました。良血馬のライラスターも勝てるレースでしっかりと勝っておかないと、叔父のような状況になってしまうことも絶対に無いとは言い切れないでしょう」(同)
実際、ネットの掲示板などでは「アークライトに似てる」「アークライトにならないように次は決めて欲しい」といった、ライラスターを叱咤激励するコメントが早くも目に付いていた。
今回、負けはしてしまったものの、ライラスターは1頭だけ上がり34秒台を繰り出しており、地力は確かだと思われる。今後の競馬を盛り上げるためにも、良血馬の巻き返しに期待したいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。