JRA「狭くなった」痛恨不利の武豊、若手騎手に恨み節も存在感なし……秋競馬開幕も重賞19連敗中、リーディング「トップ10圏外」の寂しさ

レシステンシア 撮影:Ruriko.I

 秋競馬が開幕しても、レジェンドが輝きを取り戻せないでいる。

 12日、スプリンターズS(G1)の前哨戦として中京競馬場で行われたセントウルS(G2)は、1番人気レシステンシアが2番人気ピクシーナイトの猛追をしのぎ切って勝利。

 これでG1・4勝を含む重賞11勝目となったC.ルメール騎手が「ギリギリセーフ!」とおどけるほど白熱した接戦。ピクシーナイトの福永祐一騎手も「来年はすごい馬になっているかも」と将来への期待を膨らませており、2頭の争いは本番のスプリンターズSでますますヒートアップするに違いない。

 その一方、同じ関西を代表するトップジョッキーでも、まったく存在感がなかったのが、武豊騎手だ。

 この日、武豊騎手が騎乗したレッドアンシェルは、昨年の北九州記念(G3)で重賞2勝目を飾ったものの、今春の高松宮記念(G1)では18着の最下位に大敗。復帰戦となった前走を一叩きされて今回のセントウルSを迎えたが、後方から良いところなく14着に惨敗している。

「レース後、武豊騎手が『3コーナー過ぎで狭くなって……』と敗因を挙げていた通り、3コーナー付近で若手の富田暁騎手のベストアクターに軽く進路をカットされ、レッドアンシェルが頭を上げるシーンがありました。ですが、富田騎手に何らかの処分が下ったわけではありませんし、影響は軽いもの。はっきり言ってあの不利がなくても、今日は勝負にならなかったと思います。

もっともレッドアンシェルは10番人気の低評価でしたので、武豊騎手を以てしても上位争いは難しかったと思います。このレースの結果より、むしろG2でこれだけの穴馬に騎乗していること自体が、今の武豊騎手の状況を物語っていますね」(競馬記者)

 無論、武豊騎手が今回のセントウルSで人気薄の馬に騎乗したことには、本番のスプリンターズSに向けて別路線を歩むメイケイエールというお手馬がいるため、有力馬から声がかかりにくかったという事情もある。

 しかし、このセントウルSに限らず、最近の武豊騎手がビッグレースで本来の存在感を失ってしまっていることを心配しているファンは少なくないはずだ。

「昨年、JRAのG1を勝てないまま重賞5勝に留まった武豊騎手ですが、今年も3月にチューリップ賞(G2)と中山牝馬S(G3)を連勝したものの、そこから19連敗と苦しい状況が続いています。

それもその間で1番人気に騎乗したのは、7着に敗れたキーンランドC(G3)のメイケイエールだけ。2番人気もヴィクトリアマイル(G1)のレシステンシアだけと、単純に有力馬に騎乗する機会が減少して、重賞を勝つチャンスが減っている印象です」(競馬記者)

 今回のセントウルSでデッドヒートを繰り広げたルメール騎手や福永騎手のような一部のトップジョッキーを除いて、重賞を勝つことは簡単ではない。しかし、武豊騎手はこれまで誰よりも多くのビッグレースを制してきたレジェンドだ。

 そんな武豊騎手だが現在、リーディングも13位と低迷。春に足首のケガで一時戦線離脱するアクシデントがあったものの、今年の勝ち星は49勝に留まっており、115勝を挙げた昨年を下回ることはほぼ確実だ。

「3コーナーを過ぎで狭くなって、リズム良く競馬ができませんでした」

 今回のセントウルSで不利があったことは確かなようだが、ファンから「例え不利がなくとも勝ち負けには関係なかったのでは」と思われてしまうのは、あまりにも寂しい。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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