スノーフォール「神話崩壊」が意味するものとは? 凱旋門賞(G1)前哨戦でエルコンドルパサーを彷彿させる逃げ切り、コントレイルの「影武者」が勢力図に一石
12日、フランスのパリロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞(仏・G1)の前哨戦は、10月3日の本番を前に大きな影響を及ぼした。
この日の最大注目は、なんといってもスノーフォールが出走したヴェルメイユ賞(G1)だ。同馬は英オークス(G1)で16馬身差という衝撃的な勝利を飾ると、愛オークス(G1)で8馬身差、ヨークシャーオークス(G1)を4馬身差と圧勝を続けていた。
今回、英オークス以来のコンビとなるL.デットーリ騎手も「彼女はおそらく(今年の)凱旋門賞を1番人気でスタートするでしょう」と予告。
2017、18年に凱旋門賞を連覇したエネイブルにも騎乗していた世界的名手が「楽勝続きなので、スノーフォールのリミットがまだわかりません」とレース前にコメントしたなら、誰もが勝利を疑わなかったと言っても過言ではない。
「勝つのは当然。注目すべきはどのような勝ち方をするのか」
気の早いファンからは、快進撃を続ける3歳牝馬が何馬身の差をつけて勝つのかに、興味をそそられたかもしれない。
だが、そこにあったのは後方から伸びを欠いて、同じ3歳牝馬ティオナの2着に敗れる信じられない姿。無敵を誇った怪物とは思えない“あっけない”敗戦だった。これには海外のブックメーカーも即座に反応し、凱旋門賞におけるスノーフォールの単勝オッズをタルナワに次ぐ2番人気へ下げる動きも出た。
そして、この衝撃の余韻がまだ残る中、続いて行われたフォワ賞(G2)もまた、スノーフォールの評価を大きく揺るがす結果となったのではないか。
このレースには、日本からディープボンド(牡4、栗東・大久保龍志厩舎)が参戦。ワンダフルナイトの取り消しにより、6頭立てとなったレースで5番人気と、それほど評価は高くなかった。
ところが、いざ蓋を開けてみれば、エルコンドルパサーを彷彿とさせる見事な逃げ切り勝ち。好スタートからハナを奪ったディープボンドは、ゴール前で脚色が衰えることなく、ブルームの追撃を1馬身1/2の差で振り切った。