JRA モーリス産駒が「切れない」イメージ一変! 第2世代は上がり「最速」を連発、夏を越したルペルカーリアは偉大な兄に急接近か
今週末の中央競馬は、土曜から月曜までの3日間開催。20日の中山競馬場では菊花賞トライアル、第75回セントライト記念(G2)が行われる。
阪神の芝3000mを舞台に行われる今年の菊花賞は、皐月賞馬エフフォーリアが既に回避を表明しており、日本ダービー(G1)を勝ったシャフリヤールも出否未定の状態。
混戦が予想される中、2頭に代わる菊の有力馬として期待されているのが、同トライアルに出走を予定している良血馬ルペルカーリア(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。
昨年9月のデビュー戦こそ4着に敗れたが、4ヶ月の休養を挟んだ2戦目の未勝利で3馬身差の圧勝。3戦目の毎日杯(G3)はシャフリヤールから0.5秒差の4着。続く京都新聞杯(G2)で2着に入り、賞金の上積みに成功したが、陣営はダービーの出走を見送り。秋に備えて放牧に出された。
先月6日、放牧先のノーザンファーム天栄から栗東に帰厩したルペルカーリア。先週9日の1週前追い切りでは、僚馬のレッドジェネシスらと3頭併せを消化するなど、順調ぶりをアピールしている。兄のエピファネイアは2013年の菊花賞馬。兄弟制覇も期待されるところだろう。
そんなルペルカーリアは、シンボリクリスエス産駒だった兄とは変わって、今年2世代目がデビューしているモーリスの産駒だ。
モーリス産駒の特徴といえば、昨年、初年度の世代がデビューしたものの、初日にブエナベントゥーラが単勝1.5倍で敗戦を喫するなど、いきなりの22連敗。7月に行われるセレクトセールを前に、産駒の複数勝ち上がりも期待されていたが、なんとかカイザーノヴァで1勝を挙げるのがやっとだった。瞬発力勝負になると後れを取ることが多く、産駒には切れ味不足のイメージも付きつつあった。
ところが、近頃、にわかに変貌を遂げつつある。
2世代目の産駒たちは、6月にアバンチュリエが上がり3ハロン最速で初勝利を挙げると、その翌週にもアルナシームが同じく上がり最速で勝利。先月28日の小倉ではラスマドレスが、翌29日にはマテンロウスカイがそれぞれ上がり最速で突き抜けて勝利を収めている。
昨年のモーリス産駒は、夏のローカル開催終了時点で8勝を挙げていたが、そのうち上がり最速での勝利は2つのみだった。それが今年デビューした2歳馬は、同時点で6勝のうち、5勝が上がり最速。初年度とは打って変わって、産駒に切れ味が備わってきているのである。
「育成や調教方針を変えたのかもしれませんね。現3歳世代も夏を境に、ジェラルディーナが2勝クラスで凄まじい切れ味を見せたり、先週のセントウルS(G2)では2着に惜敗したものの、ピクシーナイトが豊かなスピードを披露したりと、産駒の特徴が徐々に変わりつつあるようにも思われます」(競馬誌ライター)
そもそもモーリス自身が現役時代、3歳が終了した時点で、当時まだ1000万下クラスの身であった。本当に強くなったのは古馬になってからである。
ルペルカーリアは以前、主戦の福永祐一騎手が「エピファネイアになってきた」と話したものの、春の時点ではまだ体が対応しきれていない感じでもあった。ひと夏を越したモーリス産駒の同馬が、ついに兄のような強力な先行馬に進化している可能性も、もしかしたらあるかもしれない。
エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアに続く、4兄弟でのG1制覇達成に向けて、まずは秋初戦の走りを楽しみにしたいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。