JRA「エアグルーヴ×ベガ」日本が誇る名牝の集大成!? 藤沢和雄師最後のダービー馬候補は“ズッコケ”も……、ドゥラメンテの忘れ形見に懸かる大物誕生の期待
血統的には、最高レベルに贅沢な配合の馬がついにヴェールを脱ぐ。
20日の月曜中山6Rに出走を予定しているライリッズ(牡2、美浦・ 宮田敬介厩舎)は、オールドファンにとってロマンの結晶ともいえる配合で生まれた超良血馬だ
父は8月末に若くして急逝した二冠馬ドゥラメンテ、母ヒストリックスターは2014年の桜花賞(G1)を直線一気の豪脚で制し、同年の凱旋門賞に挑戦したハープスターを出した名牝である。
これだけだとよくいる良血馬というイメージもあるが、ライリッズの場合は少々趣が異なる。何しろ、父系と母系を遡ると日本が誇る名牝系のコラボが実現しているからだ。
キングカメハメハを父に持つドゥラメンテの母は、03年~04年のエリザベス女王杯(G1)を連覇したアドマイヤグルーヴ。馬名に含まれた「グルーヴ」からも分かるように、エアグルーヴの産駒だ。母娘オークス制覇も成し遂げたエアグルーヴといえば、母ダイナカールに連なる日本でも有数の名牝系出身馬といえる。
また、ヒストリックスターの母ベガは1993年春に牝馬二冠を達成しただけでなく、初年度産駒のアドマイヤベガは、99年の日本ダービー(G1)を鮮やかな差し切り勝ちでテイエムオペラオーやナリタトップロードらの強豪を破った。
さらに、3歳下の半弟アドマイヤドンは。3連勝で朝日杯FS(G1)を制する実力を見せるも、その素質を開花させたのはダートの舞台。中央と地方を合わせて芝、ダートのG1で7勝を挙げた名馬でもあった。
「この血統を見て期待しないファンはいないでしょう。父系母系ともにベストオブベストのようなストロングスタイルです。同じ母のアークライトは、藤沢和雄調教師最後のダービー馬候補といわれながら“ズッコケ”ましたが、ドゥラメンテとの配合は初めて。
“死んだ種牡馬の仔は走る”という都市伝説のような競馬の格言もありますから、このタイミングで父が亡くなったことも、産駒の活躍を意味するのかもしれませんね。デビュー戦で負けたとしても、古馬で大成する可能性も十分にあります」(競馬誌ライター)
そんなライリッズに懸かる関係者からの期待は、当然ながら大きい。
デビュー戦の距離は芝2000mとクラシックを意識したもの。若駒ということもあり、まだ心身に幼さは残っているようだが、「心肺機能にはいいモノを持っている」と宮田師の評価も上々。5月の遅生まれだけに“伸びしろ”もまだまだありそうな雰囲気だ。
日本が誇る超良血馬だけに、結果を残せば種牡馬入りはほぼ約束されている。
まずは、デビュー戦でどれだけの走りを披露してくれるのかを楽しみに待ちたい。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。