JRA福永祐一「疎遠」が意味するものは……シャフリヤール、コントレイルという現実と、最愛シーザリオの忘れ形見の行方
16日、菊花賞トライアル・セントライト記念(G2)へ向けた最終追い切りが行われ、世代屈指の良血馬ルペルカーリア(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が栗東の芝コースで軽快な動きを見せた。
進化の軌跡を示す時が来た。母に日米オークス馬のシーザリオ、兄にサートゥルナーリアやエピファネイアといったG1馬を持つ大器。春は京都新聞杯(G2)で2着に敗れるなどクラシック出走は叶わず、同世代のトップクラスとの差を見せつけられる格好に終わった。
しかし、元々が奥手と評価されてきた存在。ここまでキャリア4戦と大事に扱われてきた。ひと夏を越し、陣営も「まだ良くなるのは先だと思いますけど、バランスが良くなりました」と成長に手応えを掴んでいる。
今度こそトップ戦線に食い込む飛躍の秋へ。8月6日に帰厩したルペルカーリアは、ここまで約1か月間入念に乗り込まれており、この日の追い切りを見守った友道調教師も「いい感じで(最終追い切りが)できた」と好評価。5月以来のレースだが、休み明けという仕上がりではなさそうだ。ここで結果を残せば、一気にG1が見えてくる。
そんな中、複雑な立場にいるのが主戦の福永祐一騎手だ。
「シーザリオの名前を残していきたい――」
福永騎手がそう語ったのは、ルペルカーリアが3月の毎日杯(G3)を迎えた時だった。ちょうど1カ月前に母シーザリオが他界。「シーザリオの名を残したい」ということは、即ちその息子ルペルカーリアで、種牡馬入りできるような成績を残したいということだろう。
元々強かった福永騎手の“忘れ形見”への思いが、さらに強くなったことを印象付ける言葉だった。
「しかし、この毎日杯の結果は4着。同世代のトップクラスに完敗を喫したばかりか、福永騎手にとっては“騎乗しなかった方のお手馬” シャフリヤールが勝つという皮肉な結果でした。
そして、その後ルペルカーリアは京都新聞杯(G2)で2着しましたが、中間の追い切りでは福永騎手が騎乗していないんですよね。陣営の方針もあるかもしれませんが、それまでは必ずレース前に一度は騎乗して感触を確かめていたハズなんですが……」(競馬記者)
記者がそう話すのも、実は今回のセントライト記念の追い切りでも、福永騎手が一度も騎乗していないからだ。ちなみに一方、翌週の神戸新聞杯(G2)に出走するシャフリヤールには、2週続けて騎乗する熱の入りようだ。