JRA福永祐一「疎遠」が意味するものは……シャフリヤール、コントレイルという現実と、最愛シーザリオの忘れ形見の行方
「実際、複雑だと思いますよ。結局、春は毎日杯で乗らなかったにもかかわらず、シャフリヤールの鞍上に戻って日本ダービー(G1)を勝ったわけですからね。
このシャフリヤールですが、このまま福永騎手とのコンビで来週の神戸新聞杯に出走、その後は菊花賞(G1)や天皇賞・秋(G1)などで流動的ですが、前者が濃厚と見られています。というのも、福永騎手の最高のお手馬コントレイルが天皇賞・秋の出走を予定しているからです。
こうなってくると立場がなくなるのが、ルペルカーリア。仮にこのセントライト記念で菊花賞の出走権を得たとしても、本番で福永騎手が騎乗する見込みは薄いと言わざるを得ません。福永騎手にしても同世代のダービー馬の主戦を務めている以上、今後どうルペルカーリアと付き合っていくかは難しいところです」(別の記者)
ただ記者曰く、今年の菊花賞はルペルカーリアにとっても小さくはないチャンスだという。
「単純にエフフォーリアなど同世代のトップクラスの一部が不在ということもありますが、それ以上に阪神で開催されることが大きいと思いますね。
阪神3000mといえば、今春の阪神大賞典(G2)でディープボンドが圧勝した舞台。あの馬は先日のフォワ賞(G2)で見せたような粘りと持続力が持ち味ですが、デビュー戦で福永騎手から『(末脚が)切れない』と宣告されたルペルカーリアも同じようなタイプ。例年の京都よりは阪神でチャンスがある馬だと思います」(同)
記者が話す通り、陣営からも「スパッと切れるタイプではないので、自分のストライドで走れるかどうか」と評価されるルペルカーリア。果たして菊花賞へ駒を進められるのか、そして、その鞍上に福永騎手の姿はあるのか。
理想と現実の狭間で、シーザリオを誰よりも思ってきた三冠ジョッキーがどう決断を下すのか見守りたい。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。