JRA C.ルメール「謎」の後方待機に疑問の声!? 騎手が明暗分けたローズS(G2)、中京の鬼・福永祐一が「お手本騎乗」で有力馬の敗因バッサリ?

 19日、今年も中京競馬場で行われた秋華賞トライアル・ローズS(G2)。春のクラシック組と夏の上がり馬の対決を制したのは、福永祐一騎手が騎乗した4番人気アンドヴァラナウト(牝3、栗東・池添学厩舎)だった。

 夏の新潟で1勝クラスを勝ち上がった勢いそのままに、オークス(G1)好走組を撃破。中京コースを滅法得意とする鞍上を背に、エアグルーヴを祖母に持つ良血馬がラスト一冠奪取に名乗りを挙げた。

「道中は一番いいポジションで運べました」

 福永騎手がそう振り返ったように、アンドヴァラナウトはフルゲート18頭立てのレースで6番手の好位から抜け出し。逃げたエイシンヒテンが2着に粘り込んだことからも、前にいた組にとって有利なレース展開だったといえる。

 これに対し、いつもより後ろの競馬が裏目に出たのは、クールキャット(牝3・美浦・奥村武厩舎)に騎乗したC.ルメール騎手だろう。3番人気に支持されたものの、スタートで後手を踏んだとはいえ、リカバリーする意思も見えない消極策。最後の直線でも後ろから4番手と後方のまま、11着に大敗してしまった。

「休み明けで状態はフレッシュでしたが、スタートがあまり良くなく、またこの競馬場では大きなストライドが使えませんでした。坂を上がって疲れてしまいました」

 ルメール騎手は、ローズSの直前に行われた10R納屋橋S(3勝クラス)をフォルコメンで楽勝したばかり。道中でスローと見るや、果敢にハナに立つ積極的な競馬で制していただけに、中京の馬場が前残りしやすいことは把握していたはず。

 にもかかわらず、この位置取りはあまりにも後ろ過ぎたようにも映る。

「フローラS(G2)を好位から抜け出して勝利したクールキャットですが、陣営としては逃げて惨敗したオークスが相当堪えたのかもしれません。もしかしたら『行くな』という指示が出ていた可能性もありそうです。

馬体重もデビュー最高となる14キロ増で、行きっぷりもあまりよくありませんでした。本番で巻き返すためのカギとなるのは、一度使われた上積みがどこまであるかですが、見せ場すらなかったのは気になります。」(競馬記者)

 レース後、福永騎手が「有力馬が後ろから運んでいた」と指摘した通り、道中の位置取りが明暗を分けた。

 最後の直線で9番手につけていたアールドヴィーヴルこそ、3着に入って意地を見せたものの、12番手のタガノパッションは12着、15番手のクールキャットも11着と、後ろにいた上位人気馬は揃って末脚不発。中京の鬼といわれる名手が「お手本」ともいえそうな好騎乗で、他の騎手に差を見せつけた今年のローズS(G2)だった。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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