武豊騎手が1分間で見せた”超感覚”が凄すぎる「テニスの錦織圭」と「競馬の武豊」2人のカリスマが語る特殊な「聖域(ゾーン)」とは
「もう一度、リーディングを獲りたい」
2017年の年明けから、各所でそう宣言している武豊騎手の「神騎乗」が止まらない。
先週の競馬を終えた時点で全国2位の15勝。トップを走る田辺裕信騎手とは、わずか1勝差に詰め寄っている。それも先月21日の「マカオ国際男女 混合ジョッキーズチャレンジ」に参加したため、丸1週間騎乗していないにもかかわらずの成績だ。
実際に武豊騎手の騎乗数は、田辺騎手の96鞍よりも33も少ない63鞍。それで1勝差ということもあって勝率、連対率、3着以内率ともに断トツの数字を叩き出している。一時的とはいえ、勝率の.238は年間212勝のJRA記録を達成した2005年の.248に迫る数字。連対率以下は、その当時をも上回っている。
まさに「全盛期」を彷彿とさせるような、神懸った勝負強さを見せている今の武豊騎手。その充実した騎乗内容の一部が垣間見えたのが、今年の重賞2勝目を上げた先月29日のシルクロードS(G3)だった。
もともとゲートに難のあるダンスディレクターで難なく好スタートを決めると、無理せず後方へ。一見、ややもったいない感もあったが、先頭では1番人気のネロと2番人気のソルヴェイグらが激しいハナ争いを展開している。
結局、後方10番手まで位置取りを下げた武豊騎手だったが、勝負所で行きたがるダンスディレクターを上手く宥めると、最後の直線で末脚が爆発。2着馬との着差こそクビ差だったが手応えには歴然とした差があり、トップハンデ馬を見事にレース史上初の連覇に導いた。
このレースぶりを絶賛したのが、ダンスディレクターを管理する笹田和秀調教師だ。
『東京スポーツ』の取材に、当初は「スタートが決まったのに下げ過ぎじゃないか……」と不安になったようだが、目の覚めるような快勝劇を前に「上手く内をさばいて、最後は伸びてくれた。言うことがない」と手放しで鞍上の騎乗を称えている。
さらにこの騎乗ぶりがどれほど「神懸り」だったかということは、武豊騎手自身が『週刊大衆』で連載する自身のコラム内で語っている。
「ダンスディレクターに関しては、前半は後方待機、4コーナーでうまく内をさばいて、ラストは外から――道中、ムダな動きさえしなければ最後は弾けてくれるはずという、ほぼ100%、思い描いていた通りの競馬で勝つことができました」
レースをそう振り返る天才騎手だが、驚愕すべきはその次の言葉だ。