元JRA藤田伸二「お前なにしてんねん!」クロノジェネシス“大外ポツン”に毒舌全開!? 凱旋門賞「ほろ酔い」生配信でディープボンド鞍上にも過激発言
3日、第100回凱旋門賞(G1)がパリロンシャン競馬場で行われ、13番人気の伏兵トルカータータッソ(牡4歳、独・M.ヴァイス厩舎)が直線外を鋭く伸びて勝利。ドイツ馬としては、2011年のデイドリーム以来、10年ぶりの優勝を飾った。
一方、クロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)は直線伸びを欠き7着、ディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)は最下位14着に沈み、日本馬による悲願達成は持ち越しとなった。
また、凱旋門賞3勝目を狙ったアイルランドの名門オブライエン厩舎は、3頭出しで臨んだが、スノーフォールが6着、武豊騎手が騎乗したブルームは11着、ラブに至ってはレース前日に熱発のため出走取り消し。飼料に禁止薬物が混入した影響で、4頭が出走を取り消すという憂き目に遭った1年前のリベンジを果たすことはできなかった。
毎年のことだが、凱旋門賞が行われるのは日本時間の日曜夜。今年もお酒を飲みながら、観戦していたファンも多かっただろう。
JRA通算1918勝を誇る元騎手の藤田伸二氏もそんな一人だった。
午後10時すぎに、「よ~し。ええ感じで酔って来たし22時30分から皆んなで凱旋門賞観よ!YouTube宜しく!!!」とツイートした藤田氏。午後のスプリンターズS(G1)に続き、この日2度目となるYouTube生配信を凱旋門賞の出走時間に合わせて敢行した。
この日、スプリンターズSで馬単を見事的中させていた藤田氏は、ほんのり赤ら顔のホロ酔い姿で登場。お酒の“後押し”もあってか、いつも以上に饒舌な生解説を披露してくれた。
「藤田氏は2011年にヒルノダムールで凱旋門賞に挑戦した経験があります。当時の思い出などを交えながら、視聴者からの質問にも真摯に答えていました。
しかし少々お酒が入りすぎたのか、レースが始まるとテンションはマックスに。やや毒舌とも思える発言も何度かありました……」(競馬誌ライター)
スタート直後に指摘したのはディープボンドの出方だ。「これハナ行かないな。ちょっと控えすぎちゃうか?あそこまで下げる必要あったのかな……」と前哨戦で逃げ切り勝ちを収めた日本馬の戦法に不満をぶつけた。
さらにクロノジェネシスが1頭だけ大外をポツンと進む姿を見ると、「てか、クロノジェネシス、お前なにしてんねん!」と関西人も顔負けのツッコミを披露する。
その後、クロノジェネシスが好位に取り付き、直線で見せ場を作ると、「クロノ、いいぞ!」と力強くエールを送ったものの、伸びを欠いたクロノジェネシスの敗戦を悟ると、一瞬悔しそうな表情を浮かべ、外国馬によるゴール前の叩き合いを見届けた。
勝ったトルカータータッソの馬券を買っていなかった藤田氏。買い目を記したフリップを後ろに放り投げ、「ダメー」と一言。そして話題は世界の高い壁に阻まれた日本馬2頭へと移った。
スタート後に1頭だけ離れた外を通ったクロノジェネシスについては「(馬が)調教と勘違いしたのかなという錯覚を覚えさせたんじゃないかなと思いましたね。やっぱり競馬らしい競馬をさせてほしかった。だから日本人に乗せてほしかった……」など独自の見解を述べた。
またディープボンドについては「あんないいスタート切っているのに、ハナを主張したら楽に(行けたのに)」と作戦ミスを指摘。さらに「(前哨戦に騎乗した)C.デムーロがディープボンドに乗っていたとしたら、迷わずハナ行っていたかもしれない」と続けた。
さらに視聴者から「ディープボンドは前に行けなかった?」と質問されると、藤田氏は「行こうと思ったら行けましたよ」と語気を強め、「あえて行かなかった。今回乗っていたジョッキーがポンコツやったと俺は思いますね」と辛口意見。
極めつけは藤田氏がレース後のVTRを目にした場面。「クロノジェネシスに乗ったお前(O.マーフィー騎手)、アホかお前は、ホントにダメだよ」とマーフィー騎手の大外ポツン騎乗をバッサリ切り捨てた。
そんな藤田氏も最後は冷静さを取り戻し、「スタートして馬群から離れた位置取りは馬の闘争本能を引き出すことはないから。馬って群れを好むから、群れを好まない所を走らせている時点でアウトなんだな」と元騎手らしい分析で締めくくった。
奇しくも藤田氏が参戦した10年前と同じドイツ馬の優勝で幕を閉じた今年の凱旋門賞。昼間とは一味違う“毒舌”に視聴者も満足だったのではないだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。