毎日王冠(G2)がG1昇格!? すぎやまこういちさん追悼、必然の「ワンツー決着」を生み出したJRAの粋な演出とは……

 3日のスプリンターズS(G1)で開幕した秋のG1シリーズ。10日には格式高い毎日王冠と京都大賞典というG2レースが東西メインで行われた。

 阪神競馬場で先に行われたのは京都大賞典。8歳馬マカヒキが5年ぶりに勝利を収めると、客席からは大きな拍手が巻き起こった。

 一方、東京競馬場で行われた毎日王冠は3歳馬シュネルマイスターが差し切って勝利。両メインレースともゴールまで激戦だった。そんな見応えあるレースの連続に競馬の面白さを改めて味わったファンも多かったのではないだろうか。

 特に毎日王冠が行われた東京競馬場では、レース前からG1さながらの雰囲気が漂っていた。この日、出走馬が本馬場入場する際に奏でられたのは『グレード・エクウス・マーチ』。通常はG1でしか流れない入場曲だ。

 そしてレース直前に高らかに鳴り響いたのは東京・中山のG1ファンファーレ。こちらも本来なら31日の天皇賞・秋(G1)まで待たなければいけないはずだったが……。

「もうご存じかと思いますが、9月30日に作曲家のすぎやまこういちさんが90歳で亡くなりました。今回の企画はJRAがすぎやまさんを追悼するために演出したようです。

世間一般的には『ドラゴンクエスト』シリーズのゲーム音楽を手がけたことで知られていますが、競馬ファンにとっては、すぎやまさんが作曲した東京・中山のG1ファンファーレなどの方が思い入れは強いかもしれません」(競馬誌ライター)

 そんなJRAの粋な演出には多くのファンが即座に反応。Twitterなどには称賛の声が集まった。

「ここでグレードエクウスは涙腺崩壊!!!」
「毎日王冠でG1ファンファーレも胸アツ」
「すぎやまこういち先生追悼企画だったのか。やるなJRA。感動した」

 まだ競馬のイメージが比較的ネガティブだった1990年ごろ。JRAは「イメージを一新したい」と、すぎやまさんに作曲を依頼したという。今回流れた2曲以外にも、特別競走の「パドック・マーチ」や一般競走の「白馬のギャロップ」などがすぎやまさんの作品で、今もファンに親しまれている。

 特別なレースとなった今年の毎日王冠はシュネルマイスターとダノンキングリーという2頭のマイル王がワンツーフィニッシュ。場内の雰囲気を考えれば“必然”の結果だったといえるかもしれない。

「まるでG1という中で行われた一戦。G1勝利の味を知る2頭には追い風になったのかもしれませんね。

そして、偶然とはいえG1に最も近いといわれてきた毎日王冠での演出。これは最高のファンサービスになったのではないでしょうか」(同)

 1980年代末から1990年代初頭にかけての「第二次競馬ブーム」に大きく貢献したすぎやまこういちさんには改めて感謝と哀悼の意を表したい。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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