JRA「雨模様」の秋華賞(G1)なら激走必至!? ソダシに劣らぬ重適性、前走ドン詰まりでノーマークの「特注馬」が波乱の使者に急浮上
17日、阪神競馬場では牝馬のラスト一冠となる秋華賞(G1)が開催される。例年なら京都で開催されるレースだが、今年は阪神が舞台。コースが異なることで、レース展開も変わってくるだろう。
阪神内回りのAコースといえば、同条件のG1には大阪杯(G1)がある。開催時期は春と秋で同じとはいえないにせよ、頭の片隅には入れておきたい情報だ。
ちなみに今年の大阪杯は、下馬評でコントレイル、グランアレグリア、サリオスが三強を形成していたが、レースを制したのは4番人気のレイパパレ。2着モズベッロに4馬身の差をつける圧勝だった。
その一方で、本来のポテンシャルならレイパパレにより格上であったはずのコントレイルやグランアレグリアは、力を発揮できないまま不完全燃焼。重馬場に伸びを欠き、2着に食い込んだ6番人気の「重巧者」モズベッロにすら先着を許してしまった。
レース後、それぞれの陣営からは「良馬場なら……」というコメントも出たように、「重の巧拙」が明暗を分かつ結果ともなった。
力通りの決着になりやすい良馬場に比して、適性を問われる道悪ではレースの紛れも出やすいことは確か。それは不良に近い重で行われた今年の凱旋門賞(G1)でも、良馬場のフォワ賞(仏G2)を快勝したディープボンドが凡走したことからも、決して無関係ではないといえるだろう。
なぜこんな話をするのかというと、今週末の関西地方の天気が流動的な状況となっているからに他ならない。
14日現在、阪神競馬場のある宝塚市の天気は、土曜が晴れの予報ながら、日曜の降水確率は50%。午前中は良馬場だった大阪杯当日も、午後からの雨で一気に馬場が悪化しただけに、気になるところである。
そこで、もし馬場が悪化した場合でも、晴雨兼用で狙える馬がいないかと考えた結果、急浮上したのがスルーセブンシーズ(牝3、美浦・尾関知人厩舎)だ。
今年の秋華賞出走予定馬で、重または不良馬場で開催された芝1800m以上のレースで勝利実績がある馬はミモザ賞(1勝クラス)のスルーセブンシーズと新馬のユーバーレーベンの2頭のみ。
ただ、ハナ差の辛勝だったユーバーレーベンは、すでにオークス(G1)を制して人気の一角。それなら2馬身半差の楽勝を決めたスルーセブンシーズを評価したい。
「スルーセブンシーズは、デビュー戦をC.ルメール騎手、その後も戸崎圭太騎手が交互に騎乗していたように、陣営の評価は元々高かった馬です。オークスこそ9着と崩れましたが、それでも8着のソダシとは0秒1しか変わりません。
特に評価したいのは前走の紫苑Sの内容です。1枠1番という最内だったこともあってインから追走して追い上げたレースですが、直線では完全に前が塞がって行き場をなくすシーン。むしろあの状況からよく巻き返して2着を確保できたと思います」(競馬記者)
確かに改めてレース映像を確認してみると、一度ブレーキを踏むような格好から、体勢を立て直して猛然と追い上げる2着。勝ち馬のファインルージュは、福永祐一騎手がほぼ完璧な騎乗したため、見た目的に圧勝にも映るが、スルーセブンシーズがもしスムーズな競馬をしていればと思える内容でもあった。
加えて同馬には、血統的に力の要る馬場が得意と考えられるソダシ同様、クロフネの血が流れていることも追い風となる。おそらく道悪巧者の背景には、母父クロフネの影響もありそうだ。
そして、鞍上の大野騎手が引き続き手綱を取ることも大きな魅力。初騎乗だった前走で感触を掴んで2度目の騎乗となる今回、昨年の秋華賞で10番人気のマジックキャッスルを2着に導いた手腕は侮れない。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。