JRA「大暴走」三浦皇成VS木幡巧也に遺恨勃発!? 前段未聞の「木刀事件」遺恨レースを思い起こす仁義なきハナ争い

 これは「遺恨」の残るレースになるかもしれない。

 24日、東京競馬場で行われたtvk賞(2勝クラス)は、2番人気のノースブリッジが勝利。最後の直線半ばで先頭に立つと、力強く押し切った。

 ラジオNIKKEI賞(G3)3着の実績を持つ3歳馬が、嬉しい3勝目を飾ったこのレース。レース後半の主役は間違いなく勝ち馬だが、前半の主役はニシノオイカゼ(牡3歳、美浦・武市康男厩舎)とコスモスタック(牡4歳、美浦・堀井雅広厩舎)の2頭だろう。

 キャリア7戦のうち5戦でハナに立ち、ここ2戦もレースの主導権を握っているニシノオイカゼ。一方、4走前から逃げに転じ、前走も大逃げを見せていたコスモスタック。2頭がハナ争いを演じることは、戦前から十分に予想できたことだ。

 しかし、まさかあそこまで壮絶な争いになるとは、誰が予測できただろうか……。

 9頭立て芝2000mのレース。好スタートを決めたニシノオイカゼが敢然とハナを主張する。すんなり隊列が決まるかと思われたが、鞍上の木幡巧也騎手が手綱を激しく動かし、内から抵抗したのがコスモスタックだった。

 コスモスタックがやや強引にハナを主張しようとするが、好スタートを決めて譲れないのはニシノオイカゼの三浦皇成騎手も同じか。お互いがまったく譲らないまま加速し続けると、後続は20馬身以上ちぎれた完全な“マッチレース”となった。

 しかし、これがゴールまで続かないことは前半1000m通過57.1秒という“殺人ラップ”が示している。早々に手応えを失ったニシノオイカゼは最後の直線を待たずにズルズルと後退し、生き残ったコスモスタックも直線半ばで力尽きた。

 結果的にコスモスタックは前から5馬身遅れたブービー。ニシノオイカゼはそこから大差がついた最下位に沈んだ。

「うーん、どうしてしまったんでしょうか。ニシノオイカゼも、コスモスタックも陣営から逃げの指示は出ていたと思いますが、それにしてもあれだけ無茶なペースのハナ争いになると『勝ち負けを度外視していたのでは』と疑問を持たざるを得ません。三浦騎手にしても、木幡巧騎手にしてもレース後には思うところがあったでしょうね」(競馬記者)

 東京2000mを舞台に行われた壮絶なハナ争いといえば、やはり2003年の天皇賞・秋(G1)が有名だ。

 O.ペリエ騎手のシンボリクリスエスが連覇を飾ったこのレース。前半の主役は、ローエングリンの故・後藤浩輝騎手とゴーステディの吉田豊騎手の2人だった。

 後藤騎手が木刀を使って吉田豊騎手に暴行を加えるという前代未聞の事件があった1999年から4年後、事件の関係性は定かではないが、この日の2人は絶対にハナは譲らないという決意に満ちていた。

 スタートから飛ばし続けた2頭が刻んだペースは1000m通過が56.9秒という、まさに“殺人ラップ”……。結局、ローエングリンは2番人気に支持されていたものの13着に沈み、ゴーステディに至っては前の馬から大差の最下位となった。

 あれから18年経ったが、逃げ馬が複数存在した場合、ハナ争いが激化することはある意味、逃亡者の宿命といえるだろう。しかし、一定の節度をわきまえないと共倒れするばかりでなく、馬券を買って応援しているファンも納得できない結果になってしまうのは、いつの時代も変わらないようだ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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