JRAメロディーレーンと有馬記念(G1)「夢」の対決!? “ファン投票1位”の珍客にリアル挑戦状

 10月31日、阪神競馬場で行われた芝3000mの古都S(3勝クラス)。長丁場の一戦を制したのはメロディーレーン(牝5歳、栗東・森田直行厩舎)だ。ちょうど1週間前に半弟タイトルホルダーが菊花賞(G1)を逃げ切った舞台で見事な勝利を収め、待望のオープン入りを果たした。

 11頭立てのレースで、道中は好位を進んだメロディーレーン。4コーナーで2番手に浮上すると、ゴール手前で逃げ込みを図ったタイセイモナークを交わし、今年1月以来となる9か月ぶりの美酒を味わった。

「馬がしっかりして前々でレースを運ぶことができました。斤量が軽いことが終いの伸びにつながりました。距離も合っていますね」

 1年半ぶりのコンビで小柄な牝馬を勝利に導いたのは岩田望来騎手。今後は軽量が見込まれる長距離のハンデ戦を中心に使われていくことになりそうだ。

「今回は(前走比の馬体重)10kg増だったとはいえ、まだ354kgという小柄な牝馬ながら改めてスタミナと勝負根性があるところを証明しました。

そして、再認識させられたのはこの馬の人気の高さです。入場制限で観客はまだ多くありませんが、ゴール前は重賞レベルの大きな歓声が上がっていましたよ」(競馬誌ライター)

 デビュー当初から330kgほどの馬体重で注目を集めてきた小さな女の子。紅一点で挑戦した2年前の菊花賞で5着に好走すると、ファンの心をわしづかみ。小さな体でひたむきに走る姿は、それ以降も絶大な人気を博してきた。その証拠に、この夏に行われた『京都競馬場アイドルホースオーディション』という人気投票では堂々2位に選ばれている。

「この人気投票は京都競馬場の主催で、『(ファンの)皆様の投票結果をもとにこれまでに作られていない、または過去に制作実績があっても現在販売されていない競走馬のアイドルホース(ぬいぐるみ)を製作する』という企画です。

2回に渡る投票を経て、メロディーレーンが2位に入り、ぬいぐるみ化が決定しました。すでにプレゼントの応募期間は過ぎてしまいましたが、来年1月から上位5頭のぬいぐるみが通販で発売されるようです」(同)

 そんなメロディーレーンを抑えてファン投票1位に輝いたのがヨシオ(牡8歳、栗東・森秀行厩舎)だった。

 通算75戦という豊富なキャリアを誇るオープン馬がその名を全国区に広めたのは昨年のジャパンC(G1)。それまでオープン勝ちや交流重賞2着という実績はあったものの、主戦場はダートの短距離だった。

 いきなりアーモンドアイの引退レースに登録された「珍客」にファンは騒然。『netkeiba.com』の予想オッズでは、一時的に1番人気となる珍事にも繋がった。実際にレースにも出走し、結果は最下位だったが、応援馬券もかなり売れたと言われている。翌週のチャンピオンズC(G1)にも連闘で挑み、一気に知名度を上げていた。

 宝塚記念(G1)を回避後は休養中のヨシオだが、ぬいぐるみではメロディーレーンを上回るほどの人気者。暮れの有馬記念(G1)に向けてヨシオファンも黙っていないだろう。

 昨年のファン投票ではメロディーレーンが34位、ヨシオが51位の得票数を獲得した。25位のミッキースワロー(直前に回避)までがファン投票によって選出されており、今年は2頭そろって選出させる可能性もゼロではない。

 メロディーレーンは休み明けの古都Sで一発回答。ヨシオの復帰は未定のままだが、その動向に注目が集まる。1年の総決算、グランプリ有馬記念で「メロディーレーンVSヨシオ」の夢の対決は実現するだろうか。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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