JRA逆襲のM.デムーロ「大絶賛」の超大物が京都2歳S(G3)へ! 騎手が「超走る!」と口をそろえた2歳牝馬とは
かつて「ミルコの秋」と呼ばれた季節があった。
2015年にC.ルメール騎手と共に鳴り物入りで史上初の外国人JRA騎手となったM.デムーロ騎手。その2年後の2017年秋G1は開幕戦のスプリンターズSを勝つと、菊花賞、エリザベス女王杯、マイルCSと次々勝利。「日曜日の重賞」に限っては、8月の新潟記念から9週間連続で馬券圏内と、まさに神懸かった勝負強さを見せていた。
しかし、2年後の2019年には年間重賞3勝と大きく低迷……。翌2020年も重賞4勝に終わり、今年もここまで5勝。もうすでに秋も深まり、冬の足音が聞こえてきたが「ミルコの季節」は、なかなかやってこない。
だが、そんなデムーロ騎手に再び風が吹こうとしている。
「真面目な馬。折り合いがつくし、いい瞬発力で最後まで伸びていました」
コントレイルの全弟サンセットクラウドなどが大きな注目を集めた10月16日の新馬戦。レース後、デムーロ騎手が手放しで絶賛したのは、相沢郁厩舎のライラック(牝2歳、美浦)だ。着差こそ1馬身1/4だったがノーステッキ、抜け出した後に手綱を緩めての大楽勝だった。
この勝利にデムーロ騎手が「すごくいい馬」と評価すれば、相沢調教師は「これがウチで一番走る馬。重賞級だね」と後の厩舎の看板馬になる期待を隠さない。
「一昨年の札幌2歳S(G3)を勝ったブラックホールの半妹ですが、父がゴールドシップからオルフェーヴルに替わりました。ただ、『netkeiba.com』で連載中のコラム(Road to No.1-M.デムーロ世界一になる-)では『僕が今まで乗ってきたオルフェーヴルの仔とは全然違った』と、産駒特有の気性難もまったくないそうです。
デビュー戦は1頭だけモノが違う強さでしたし、小柄な馬体は如何にも中長距離向き。今年、ユーバーレーベンでオークス(G1)を制したデムーロ騎手ですが、連覇も狙えるのではないでしょうか」(競馬記者)
記者の話にも出た『Road to No.1』では「超強かった! いやぁホントに強かったね」と再びライラックを大絶賛しているデムーロ騎手。「乗り味もレースぶりも、凄くよかった。ものすごく楽しみです」と、楽しみな2歳牝馬と出会えた喜びを爆発させている。
「勝利騎手インタビューでもデムーロ騎手が少し話していましたが、相沢調教師だけでなく、デビュー前の調教に携わった津村明秀騎手や石川裕紀人騎手も『この馬は超走る!』と絶賛してたそうです。
デビュー戦を見ましたが、これはちょっと抜けた存在ですね。周りの関係者が騒ぎ出すのも当然だと思います。次走は再来週の京都2歳S(G3)になる予定で、相沢調教師は『重賞級』と評価していましたが、本音は『G1でも』と思っていると思いますよ」(別の騎手)
「今年は楽しみな2歳にたくさん乗せてもらって、すごくうれしい!」
ライラックの衝撃のデビュー戦から2週後には、サークルオブライフでアルテミスS(G3)を勝利したデムーロ騎手。2歳お手馬の充実ぶりは当然、大きな未来へとつながるはずだ。
果たして「ミルコの季節」は再び到来するのか。来年は秋まで待たずとも、春にはファン待望の大爆発が見られるかもしれない。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。