JRA武豊と並ぶジャパンC(G1)最多勝なるか? コントレイルと最後の「同期対決」を迎えるオーソリティ絶好調厩舎と騎手が強力バックアップ
1日付けで調教業務を再開した木村哲也厩舎が絶好調。復帰した6日以降の開催から先週まで出走した20頭のうち4頭が勝利を挙げ、勝率20.0%を記録。複勝率は45.0%と、馬券的にも無視できない好成績を残している。
特筆すべきはC.ルメール騎手が木村厩舎の馬に騎乗した際の成績だ。師の復帰後、同厩舎の管理馬に騎乗したケースは6鞍あるが、20日はイクイノックスで制した東京スポーツ杯2歳S(G2)の勝利をはじめ3勝をマーク。勝率5割を記録しているほか、複勝率は驚異の83.3%と、ルメール騎手が乗ればほぼ馬券に絡む抜群の相性を誇っている。
その3勝を挙げたうちの1頭が、今週のジャパンC(G1)に出走予定のオーソリティだ。現4歳ながら過去には2度骨折するなど、ツキがない。
昨年の3歳時は弥生賞(G2)3着で優先出走権を得ながら、皐月賞(G1)は回避。続く青葉賞(G2)で勝利するも、レース後に骨折が判明。残るクラシックもダービーはおろか、菊花賞出走も叶わなかった。
昨年復帰したアルゼンチン共和国杯(G2)で勝利する実力をみせながら、暮れの有馬記念(G1)では14着。なかなか安定した実力を発揮することができない中、明け4歳時にはダイヤモンドS(G3)2着から挑んだ天皇賞・春(G1)でも10着。その後またもや骨折が判明して、再び休養を余儀なくされた。
ここまで運に見放された感のあるオーソリティ。実は今回のジャパンCで引退する三冠馬コントレイルとは同期の間柄だが、奇しくも3歳になってから一度も対戦していない。
両馬の対戦は一昨年のホープフルS(G1)のみで、この時は池添謙一騎手がオーソリティに騎乗して4着に敗れている。つまり今週末に迫った大一番ジャパンCで引退を表明している同期の三冠馬コントレイルとは、生涯2度目の対戦が“ラスト勝負”となるのだ。
一方で、オーソリティを管理する木村厩舎と抜群の相性を誇るルメール騎手。もしこのコンビでジャパンCを勝利すれば、アーモンドアイで制した昨年に続く連覇となり、武豊騎手と並ぶ同レース史上最多の4勝を記録することになる。
前走のアルゼンチン共和国杯(G2)では57.5キロのトップハンデを背負いながら圧勝。レース後は「(オーソリティは)道中、冷静だったので向こう正面では勝ったと思った」と豪語した点からも、それなりの勝算を持って騎乗依頼を引き受けたのかもしれない。
無敗で三冠達成した“同期の桜”コントレイル。片や同世代クラシックロードでG1レース出走すら叶わなかったオーソリティに対して、木村厩舎と相性抜群のルメール騎手が“不遇”を一掃するか。最後の“同世代対決”で逆転を目論むパートナーとルメール騎手のコンビに注目したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。