JRA兄はサリオスでも「コントレイル級」の大楽勝!? C.ルメール×国枝栄厩舎コンビが送り出した良血馬サリエラが来年のニューヒロインに名乗り
28日、東京競馬場で行われた6Rの2歳新馬(芝1800m)は、C.ルメール騎手のサリエラ(牝2、美浦・国枝栄厩舎)が優勝。半兄にサリオスがいる良血馬が圧巻のデビュー勝ちを決めた。
「いいスタートをしたからマイペースで逃げられた。R.ムーア騎手と併せてからいい脚をつかってくれました。ムチを入れるといい反応をしてくれました」
デビュー戦を任されたリーディングジョッキーもパートナーの楽勝を好評価だ。直線で叩き合った相手はムーア騎手が操るサイルーン。単勝1.8倍の断然人気に支持されていた大本命を軽くあしらったのだから価値がある。
これには管理する国枝師も「小柄だけどディープインパクトのいいところが出ているね。血統もいいし、どんな競馬もできそう」と手応えを掴んだようだ。
9頭立てのレースでルメール騎手は、スローと見るやサリエラを促してハナを主張。積極的に位置を取りに行くライバルがいなかったこともあり、すんなりとマイペースに持ちこむことに成功した。
しかし、そこは世界的な名手であるムーア騎手も楽には行かせない。外から徐々に進出し、サイルーンを2番手まで誘導する。最後の直線でサリエラに並び掛けるとここからは2頭の一騎打ち。あとは交わすだけのように見えたが、ここからがサリエラが一介の逃げ馬ではない証明なのだろう。
残り200mでもう一伸びをするとライバルを突き放し、3馬身の差をつけて悠々とゴールしてみせた。レースがスローで流れたこともあり、勝ちタイムこそ1分47秒2と目立たないものの、3着馬が2着からさらに6馬身も置き去りにされたことは、勝ち馬の強さをより際立たせる結果となった。
「血統的にはサリオスの半妹ですが、勝ちっぷりはむしろ2年前の東スポ杯2歳S(G3・当時)を圧勝したコントレイルのようでした。
ルメール騎手と国枝厩舎といえば、アーモンドアイで一世を風靡したコンビ。牝馬ということもあり、順調なら来年のクラシックでも主役になれそうな雰囲気もあります」(競馬記者)
この日は奇しくも無敗の三冠馬コントレイルがラストランに選んだジャパンC(G1)の開催日。歴史に名を刻んだ名馬がターフ去る日にニューヒロイン候補が登場したのも、偶然ではないかもしれない。
ルメール騎手には牡馬のイクイノックスもいるが、牝馬のパートナーに名乗りを上げたサリエラが潜在能力で決して引けを取らないスケール感を見せた。次走も要注目の1頭だ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。