JRAかつての関東名門厩舎が「トップ10陥落」に現実味、香港で反撃の狼煙も復活の条件は「新型コロナ」収束!?
12日、阪神競馬場で行われた阪神JF(G1)は、3番人気サークルオブライフが優勝。2着に8番人気ラブリイユアアイズが入り、6年ぶりに関東馬のワンツー決着となった。
一方、同じ関東馬でも2番人気のステルナティーアは、10kgの馬体減が堪えたのか、7着と人気を裏切った。また、他に2頭いた関東馬も10着と18着で、明暗を分ける形となった。
そんな阪神JFに出走馬を送り込めなかった関東の有力厩舎の一つが堀宣行厩舎だ。先週末の出走馬は土曜の師走S(L)で6着だったレピアーウィット(牡6歳)だけ。堀厩舎は2015年に全国リーディングに輝いたこともある名門だが、今年はここまで34勝にとどまっている。
堀厩舎が初めて調教師リーディングでトップ10入りを果たしたのは2010年のこと。それ以降は昨年まで11年連続で10位以内(タイを含む)を維持しているが、今年は10位圏内とは5勝差の12位タイ(12日現在)と苦しい状況だ。
全体の勝利数も伸び悩む中、今年は重賞レースでの苦戦も目立っている。春先までは1月の中山金杯(G3)を皮切りに、フェブラリーS(G1)、中山記念(G2)、マーチS(G3)と、3か月の間に4つの重賞を制したが、4月以降は一転して29連敗中という不振ぶりである。
不振の原因のひとつとして考えられるのが、新型コロナウイルスの世界的拡大だ。管理馬の能力に直接的な影響はないとはいえ、堀厩舎は外国人騎手を主戦として起用しており、厩舎の成績の原動力ともなっている。ところが、外国の有力騎手がコロナ禍でなかなか来日できないため、このことが戦力ダウンに繋がっているとも考えられる。
「堀厩舎が全国リーディングに輝いた15年頃はモーリス、ドゥラメンテ、サトノクラウンなどが国内外を席巻していました。多くのレースで手綱を取っていたのがR.ムーアやJ.モレイラなどの外国人騎手たちです。堀厩舎が外国人騎手を重用するのは広く知られていて、JRAのG1・13勝のうち、実に9勝を外国人騎手で挙げています。
ところが、約2年前にコロナ禍が世界を直撃。有力外国人騎手の来日が困難になった煽りを最も受けたのが堀厩舎といわれています。その堀厩舎ですが、12日の香港国際競走にサリオスとヒシイグアスの2頭を送り込み、ともに馬券圏内に入る好走を見せました。そして、やはりその鞍上を努めていたのは外国人騎手でした」(競馬誌ライター)
香港マイル(G1)で初の海外レースに挑んだサリオス(牡4歳)は、前走のマイルCS(G1)まで4戦連続5着以下と振るわなかったが、昨年の日本ダービー(G1)以来となるD.レーン騎手が手綱を取ると日本馬4頭の中で最先着となる3着に好走。また、香港C(G1)ではヒシイグアス(牡5歳)がJ.モレイラ騎手の好騎乗に導かれ、勝ったラヴズオンリーユーにアタマ差まで迫った。
「勝利には至りませんでしたが、やはり堀厩舎の馬は外国人ジョッキーを乗せると怖いことを改めて感じました。『香港で反撃の狼煙を上げた』と言いたいところですが、世界ではオミクロン株が拡大しており、海外と日本の行き来はいまだ容易ではありません。堀厩舎としては、もう少し辛抱が必要になるかもしれませんね」(同)
残すところJRAの開催も5日間。堀厩舎はラストスパートで勝利を重ね、なんとかリーディングトップ10を維持したいところだろう。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。