JRAデシエルト「7馬身差」デビューは調教代わり!? 2億5000万円ドゥラメンテ後継候補に安田隆行調教師は「芝も視野」
メインレースに朝日杯FS(G1)を控えた19日の阪神競馬場だが、6Rの2歳新馬(ダート1800m)を制したデシエルト(牡2、栗東・安田隆行厩舎)は、忘れずに覚えておきたい1頭だ。
「正直まだ幼いです。これから芝も考えています」
単勝オッズ1.5倍の断然人気に支持されたとはいえ、ここがデビュー戦。期待の大きな馬だけに、まだ課題が残るなか、まずは盤石の船出となったことは評価できる。管理する安田隆師もとりあえずホッとした様子だった。
レースは7頭立ての少頭数。鞍上の岩田康誠騎手が軽く促してハナへ立つと、デシエルトは悠々自適の独り旅を決める。1000m通過63秒9のスローに落とすと、あとは回って来るだけ。
3~4コーナーから懸命に追い上げる後続馬を尻目に、デシエルトは馬なりのまま。最後の直線を迎えても、岩田康騎手が後ろを振り返るほどの余裕を見せた。勝ち時計の1分53秒7(稍重)も、2着馬を楽に7馬身突き放してなら悪くないだろう。
「まるで調教代わりのようなデビュー勝ちでした。道中は物見をしたり、直線でもふらつくところもあるなど、気性面の成長は欲しいところですね。ただ、まだまだダイヤの原石といった感じで、これからどう変わっていくのか気になります。
母は気性の問題で短距離を使わざるを得なかっただけに、デシエルトがおっとりしているのは好材料です。ダートですが1800mを楽勝したことにより、中距離以上も視野に入りそうですから、来春のクラシックも間に合うかもしれませんよ」(競馬記者)
ドレフォン産駒の超良血の母はアドマイヤセプター。母系にエアグルーヴやアドマイヤグルーヴが名を連ね、近親にルーラーシップ、ドゥラメンテなどのG1馬がいる。血統的な背景も評価され、2019年のセレクトセール当歳では、2億5000万円(税抜)という超高額で落札された。
デビュー戦こそダートに使われたものの、陣営から芝のレースを視野に入れる発言が出たのも納得である。また、全体的にドレフォン産駒はダートを得意としているが、芝が苦手という訳ではない。
朝日杯FSで上位人気に支持されているジオグリフもまた、芝で結果を残しているドレフォンの代表産駒でもある。
デシエルトはG1馬の多数いる血統面含め、スケール感でも引けを取らないだろう。デビューの時期的に次走は年明け以降となりそうだが、内容によっては2歳牡馬の勢力図を一変させることもあるかもしれない。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。