JRA有馬記念(G1)和田竜二「この馬に乗れるの?」「え、これが!?」ディープボンド大変身にやる気絶頂! 凱旋門賞帰りも気配はクロノジェネシス以上
「走りに推進力が出ていますし、キレが増してきた」
26日に中山競馬場で行われる有馬記念(G1)で、とにかく不気味な存在感を放っているのが、和田竜二騎手とディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)だ。
前走の凱旋門賞(仏G1)は最下位となる14着に大敗、それも前の馬には大差をつけられており、普通に考えれば巻き返しは厳しいと言わざるを得ない。
しかし、帰厩してからは順調そのもの。海外帰り、それも大敗後という難しい状況に思われたが、大久保調教師が「いい状態で走れると思う」と胸を張るように、むしろパワーアップした感すらある。
一方、『netkeiba.com』の『わだラジ』に出演した和田竜騎手は、ディープボンドについて「疲れてるだろうと思ってたけど、馬が神々しいくらい良くなってて……。『え、これが(ディープ)ボンドですか!?』って普通に感動しました」と十分な手応えを得ている様子。
同じく凱旋門賞帰りのクロノジェネシスよりも「気配は上」という声もあるほどだ。
「クロノジェネシスの斉藤崇史調教師が『一番いい頃と比べると動きが物足りない』と話していることもありますが、それを差し引いてもディープボンドの状態は良いですよ。
凱旋門賞では大差の最下位という結果でしたが、早々にM.バルザローナ騎手が諦めた結果。その分、最後まで頑張ったクロノジェネシスと比較してダメージは少なかったと思いますし、それが今となっては逆に功を奏しているのではないでしょうか。
3枠5番と良い枠を引きましたし、強敵相手でも楽しみな存在だと思います」(競馬記者)
実際に、2着から1着だった2013年のオルフェーヴルを規格外と考えれば、2004年のタップダンスシチーが17着から2着、2014年のゴールドシップが14着から3着と、凱旋門賞帰りから有馬記念で好走した過去3例の内、2つが大敗からの巻き返しだ。
また、2019年にはフェエールマンが今回のディープボンドと同じように凱旋門賞に挑んだものの、前の馬から大差をつけられた最下位に沈んでいる。しかし、次走の有馬記念ではしっかり4着に巻き返した例もある。
別の記者はディープボンドが半年以上、日本で走っていないことに「不気味さを感じる」という。
「秋に欧州遠征へ出ていたことで、日本で走るのは春の天皇賞(G1、2着)以来。元々遅咲きの馬だけに、ここに来て完成しつつあるというか、大きくパワーアップした感があります。
その可能性を感じさせたのが、2走前に快勝したフォワ賞(G2)の内容。スローで逃げることができましたが、日本よりも重いとされる欧州の馬場で上がり3ハロン33秒85には度肝を抜かれました。もし、日本で同じようなパフォーマンスができるなら、有馬記念のメンバーでも当然一発はありますよ」(別の記者)
そんなディープボンドだが、意外な弱点もある。有馬記念の舞台となる中山で、まったく結果が出ていないという点だ。しかし、それも記者は「むしろ向いているのでは?」と断言する。
「大久保調教師が『本来、中山コースは悪くない』と話している通り、皐月賞(10着)は本格化前ですし、今年の中山金杯(G3)は前年の有馬記念を除外された影響に加え、レースでも和田竜騎手が『位置取りが悪くなり、自分の競馬ができなかった』と悔しがった一戦。どちらも度外視していいと思います。
今年は中山とコースの形状が近い阪神内回りの阪神大賞典(G2)を5馬身差で圧勝。むしろ、小回りの長丁場は得意としているはずです」(同)
記者の話を裏付けるように、和田竜騎手も中山については「機動力もあるし、小回りコースも向いている」と意に介していない様子。前に行きたい馬だけに、3枠5番という内目の枠順は、この馬自慢の機動力を活かせそうだ。
「この馬に乗れるの? オレ……」
『わだラジ』では、ディープボンドへの期待を隠さなかった和田竜騎手。2000年のテイエムオペラオー以来となる有馬記念2勝目が現実味を帯びてきた。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。