【東京大賞典(G1)展望】オメガパフューム史上初4連覇へ、「充実」ミューチャリーは昨年のリベンジ狙う!川田将雅クリンチャーは「右回り」で一変も!?
年末の大一番、東京大賞典(G1)が今年も29日に大井競馬場で行われる。2021年最後のG1を勝利で締めくくるのは、果たしてどの馬になるだろうか。
最有力は、もちろんレース史上初の4連覇を狙うオメガパフューム(牡6歳、栗東・安田翔伍厩舎)だろう。
1年前に3連覇を遂げて以降は勝利がなく、2走前の帝王賞(G1)では得意舞台でまさかの5着に敗れた。この敗戦で地方ダートでの連続馬券圏内は9戦でストップ。年齢的な衰えを指摘する声も上がったが、それを払拭したのが前走JBCクラシック(G1)での走りだった。
オメガパフュームにとって決してベストとはいえない小回りコースが舞台。スタートで出遅れると、道中は後方に待機して、向正面で徐々に進出していった。4角ではまだ6番手という位置だったが、短い直線を鋭く伸びて、勝ったミューチャリーに半馬身差まで詰め寄り、2着に入った。
叩き2戦目で、同馬にとってベストの舞台に変わる今回は、最大目標の4連覇を飾って来春の種牡馬入りへ。年の瀬の大井で4度目となるM.デムーロ騎手の笑顔は咲くか。
昨年のこのレースで5着に敗れたミューチャリー(牡5歳、船橋・矢野義幸厩舎)は充実期を迎えている。
前走のJBCクラシックは好位追走から早め先頭の積極的な競馬で、レース史上初めて地方馬が制覇する快挙を遂げた。
いい意味で馬が変わったのは今年5月の大井記念(G)。それまでは追い込み一辺倒で、直線脚を余す場面が目立ったが、このレースでは強気に捲る競馬で早めに先頭に立ち、6馬身差で快勝。続く帝王賞こそ4着に敗れたが、白山大賞典(G3)2着を経て、前走の金星につなげた。
5着だった昨年の当レースを振り返ると、ゴール前ラスト1ハロンで最も鋭い伸びを見せていたのがこの馬。充実一途の今なら昨年の0秒2差を逆転する可能性は十分あるだろう。
鞍上は前走勝利に導いた金沢の吉原寛人騎手から御神本訓史騎手に戻る。デビューから一貫して手綱をとってきただけに、今度は自身の力でミューチャリーにG1勝利をもたらしたいところだ。
2頭の間に割って入るとすれば百戦錬磨のクリンチャー(牡7歳、栗東・宮本博厩舎)だろう。
前走のチャンピオンズC(G1)は14着と大敗を喫したが、もともと左回りは不得手。右回りで一変に期待がかかる。
大井競馬場は今年6月の帝王賞以来、2度目の参戦となる。前回は6番人気の評価を覆し、テーオーケインズの3着に好走。ミューチャリーとオメガパフュームにも先着を果たしている。
芝での8戦を含めて、G1挑戦は今回が12度目、菊花賞(G1)2着、天皇賞・春(G1)3着の実績があるように、スタミナが問われる展開になれば、上位人気馬を一気に飲み込む可能性もあるだろう。鞍上は過去4度騎乗して3勝している川田将雅騎手が務める。
9歳セン馬2頭も上位をうかがう。ウェスタールンド(セ9歳、栗東・佐々木晶三厩舎)は、8歳だった昨年は5戦して全て3着以内と堅実に走っていた。ところが今年はここまで4戦して2着が1度あるだけ。ただ、自慢の末脚は相変わらずで、前走の浦和記念(G2)でも上がり最速タイをマークして4着に入っている。展開が嵌まればここでも上位を狙える。
ノンコノユメ(セ9歳、大井・荒山勝徳厩舎)は、6月の帝王賞で10番人気ながら2着に追い込み波乱を演出した。今年はこれが4戦目と使い込まれていないのは魅力。状態次第で再度高配当の使者になり得るだろう
今月5日のチャンピオンズCで人気を上回る好走を見せ、掲示板を確保した7歳馬の2頭も侮れない。
アナザートゥルース(セ7歳、美浦・高木登厩舎)は、その前走で14番人気の低評価を覆し、3着に激走した。揉まれずに先行できたときの粘り強さは折り紙付き。15年の東京大賞典を制したサウンドトゥルーの半弟が初の大井で下克上を狙う。
チャンピオンズCを13番人気で5着したサンライズノヴァ(牡7歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、これまで1400~1600mを主戦場としていた。2000mは3歳時のジャパンダートダービー(G1)以来、4年半ぶり。一気の距離延長がいい方向に転ぶか。
オメガパフュームの4連覇はかなうのか、それともミューチャリーがJBCクラシックに続くG1勝利を手にするのか。1年の総決算、東京大賞典は29日15時40分に発走を予定している。