JRA【AJCC(G2)展望】「G1級実力」オーソクレースVS遅れてきた「大器」ポタジェ!ボッケリーニは「騎乗停止」明け横山武史が魅力
23日(日)、中山競馬場では古馬中距離重賞のアメリカジョッキークラブカップ(G2、以下AJCC)が開催される。中心となりそうなのは、重賞未勝利ながら今後の飛躍が見込まれる良血馬2頭だ。
まずはG1で2度の2着を誇るオーソクレース(牡4歳、美浦・久保田貴士厩舎)。最強世代といわれる現4歳世代の1頭だが、エフフォーリアとは対戦がない。まだ底を見せていない魅力がある。
母のマリアライトは4歳秋にエリザベス女王杯(G1)、5歳春に宝塚記念(G1)を制覇した名牝だが、本格化の兆しを見せたのが4歳春ごろだった。
初仔のオーソクレースは母とは異なり、デビュー2連勝を果たすなど、2歳時から一線級で活躍。ホープフルS(G1)でダノンザキッドの2着に入り、牡馬クラシック戦線で主役候補の1頭に数えられていた。
ところが態勢が整わなかった皐月賞(G1)を回避すると、日本ダービー(G1)前に骨折が判明。結局、春は全休となった。
実戦に復帰したのは9月のセントライト記念(G2)。骨折明けとしては上々の3着に好走すると、続く菊花賞(G1)でタイトルホルダーの2着に入り、スタミナと底力があるところを証明した。
その後、陣営は長距離を走った疲労を考慮し、年内の出走を見送り。満を持して今年初戦を迎える。
鞍上を務めるのは昨年のこのレースをアリストテレスで制しているC.ルメール騎手。母マリアライト譲りの強烈な末脚を引き出し、オーソクレースに重賞初勝利をプレゼントすることができるか。
対抗格に目されるポタジェ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)もオーソクレースに負けず劣らずの良血だ。半姉は重賞を4勝したルージュバック(父マンハッタンカフェ)で、こちらは父がディープインパクトである。
この馬も重賞未勝利ながら、デビューから大崩れすることなく好走を続けている。デビューから12戦して唯一馬券に絡めなかったのが前走の天皇賞・秋(G1)。勝ったエフフォーリアには0秒8差をつけられたが、のちに香港で好走したヒシイグアスとはクビ差だった。
中山コースはデビュー戦以来2度目の出走。そのときはスタートで出遅れたが、向正面で捲っていき、直線で豪快な差し切り勝ちを収めている。
芝2200mは自身初めての距離となるが、姉のルージュバックが5歳秋に制したのが同じコースで行われたオールカマー(G2)だった。姉が得意としたいわゆる非根幹距離で新たな一面を見せられるか。
鞍上は全5勝を挙げている好相性の川田将雅騎手が前走に続き務める。遅れてきた大器の能力を引き出し、重賞初勝利に導きたい。
ボッケリーニ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)も2頭に引けを取らぬ良血馬だ。全兄は15年の天皇賞・秋などG1を2勝、重賞を6勝したラブリーデイである。
6歳下の弟もやや晩成傾向で、5歳になる直前の20年12月に重賞初挑戦で中日新聞杯(G3)を制覇。兄と同じようにG1路線での活躍も期待されたが、その後はローカルハンデ重賞を中心に5戦して2着が2回と勝ち切れていない。
前走は連覇を狙った中日新聞杯で2番人気に支持されたが、トップハンデ57.5kgが堪えたのか4着に敗れた。それでも勝ったショウナンバルディと0秒3差なら、ここでも上位争いは可能だろう。
カギは近3走で手綱を取っていた浜中俊騎手から横山武史騎手への乗り替わりだ。騎乗停止(1/15~16)明け最初の重賞で是が非でも結果を残したいところだろう。
11年の桜花賞(G1)を制したマルセリーナを母に持つラストドラフト(牡6歳、美浦・戸田博文厩舎)も無視できない存在だ。
デビュー2連勝で京成杯(G3)を制してから早3年。その後は13戦して未勝利だが、20年と21年の当レースで3着に好走している。3年連続で馬券圏内を狙う。
鞍上は20年11月のアルゼンチン共和国杯(G2)以来、2度目の騎乗となる戸崎圭太騎手。前回は6番人気ながらオーソリティの2着に持ってきており、ここでも力を引き出せるか。
長期休養後、オールカマー9着、中日新聞杯5着と叩かれた効果が見込まれるキングオブコージ(牡6歳、栗東・安田翔伍厩舎)は、4連勝で目黒記念(G2)を制した頃の勢いを取り戻したい。
4年前に当レースを制したダンビュライト(セ8歳、栗東・音無秀孝厩舎)もダート帰りで一発を狙う。
重賞初勝利を飾るのはオーソクレースか、それともポタジェか。はたまた伏兵馬の激走があるのか。発走は23日15時45分を予定している。