福永祐一騎手とカデナに「不安データ」?弥生賞を快勝したクラシック筆頭候補は本番・皐月賞だけでなく「向いてる」はずの日本ダービーも……
大外から豪快に突き抜けた。その瞬間、福永祐一騎手が悲願の日本ダービー制覇に向け、大きく前進した。
5日に行なわれた第54回弥生賞(G2)は、福永祐一騎手の1番人気カデナ(牡3歳、栗東・中竹和也厩舎)が勝利。京都2歳S(G3)から重賞連勝を飾り、皐月賞(G1)の主役へ堂々と名乗りを挙げた。
「スローペースで折り合いに苦労するところもありましたが、しっかり我慢してくれました」とレース後の福永騎手が振り返ったように、先手を奪った横山典弘騎手のマイスタイルが作ったペースは、1000m通過63.2秒という極めて遅い流れ。
中団やや後方にポジションを取ったカデナだったが3、4コーナーでまくり気味に進出。これまでよりも早めの進出で直線入り口には先頭集団を捕らえると、最後は粘り込みを図ったマイスタイルを半馬身ねじ伏せてゴールに飛び込んだ。
課題のスタートにも進境を示し、着差以上の完勝。1番人気で王道トライアルを制したことによって、今年の3歳牡馬クラシックの筆頭候補に躍り出たことは間違いないだろう。
しかし、その一方で今回の勝利を”懐疑的”な目で見るファンも少なくはない。
実はカデナの弥生賞の走破タイム2:03.2は「良馬場」で行なわれた弥生賞で、現行の芝2000mで行なわれた1984年以降、最も遅い。それも先述の通り、1000m通過63.2秒という極端なスローペースだったにもかかわらず、上がり3ハロンが最速で34.6秒も掛かっていることから「低レベル」と判断した人が少なくないのだ。
確かに、同日同舞台の4歳上500万下で2:00.4という勝ち時計が記録されている以上、今年の弥生賞は時計面で「低レベル」と判断せざるを得ない。
しかし、あくまでトライアルである。
例えば、弥生賞の歴代の勝ち馬にはヴィクトワールピサ、アドマイヤムーン、ディープインパクト、アグネスタキオン、スペシャルウィークなど、その時代を彩った名馬がずらりと並んでいる。