JRA 藤沢和雄「復縁祭り」でファンが望む関東の大ベテランとのコンビ、田中勝春と「約9年2ヶ月ぶり」復活の白星が伏線となるか
29日、東京競馬場で行われた12Rの4歳上・1勝クラス(芝1800m)は、田中勝春騎手の2番人気カランドゥーラ(牡4歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が優勝した。
逃げたヴィントミューレが1000m通過57秒0で飛ばすハイペースをカランドゥーラは好位から追走。直線半ばで先頭に立つと、最後は2着ディオスバリエンテに2馬身の差をつける完勝だった。
田中勝騎手と藤沢和厩舎のコンビは、2012年12月のフォレノワール以来、約9年2ヶ月ぶりの白星を挙げた。かつてはウインラディウスやキングストレイルで重賞勝ちもあった両者だが、近年は少々疎遠な関係。だが、この復縁の裏には、およそ4年4ヶ月ぶりにコンビを組んだ前週中京での騎乗依頼もあったのだろう。
定年まで残りひと月となった名伯楽は、この日の中京6Rでも、川田将雅騎手とタッグを組んだバスマティで約11年ぶりに勝利。ここにきて疎遠だったジョッキーたちとの「復縁」が目立っている。
となると、次に期待されるのは、関東の大ベテラン・横山典弘騎手とのコンビ復活ではないだろうか。
1995年から10年連続でリーディングトレーナーに輝いた藤沢和厩舎の黄金期を、主戦の1人として支えたのが関東の大ベテラン。タイキシャトルのマイルCS(G1)やシンボリインディのNHKマイルC(G1)など、同厩舎の管理馬でもG1を複数勝利している。
05年にそれまでの主戦だった岡部幸雄騎手が引退すると、同厩舎の主戦に成長。10年の日本ダービー(G1)に2番人気で出走したペルーサなど、藤沢和厩舎×横山典騎手の組み合わせは、競馬界を代表する名コンビであったと言って間違いないだろう。
そんな両者に亀裂が走ったのが、2013年に起きた「コディーノの一件」だ。
同馬は、横山典騎手とのコンビでデビューすると、3連勝で東京スポーツ杯2歳S(G3・当時)を制覇した期待馬だった。一躍クラシック候補になったが、オーナーサイドの意向で朝日杯FS(G1)に出走すると、初のマイル戦の流れにやや精細を欠いて2着に敗れてしまう。
掛かるところもあり、弥生賞(G2)と皐月賞(G1)では横山典騎手が上手く宥めて乗ったものの、共に3着に敗戦。
だが、この結果にオーナーサイドは納得がいかなかったようで、藤沢和師に乗り替わりを提案。これには師も抵抗があったようだが、最終的には受け入れ、結果的にC.ウィリアムズ騎手との新コンビで日本ダービーに出走している。
一方、NHKマイルC後のイベントで、「コディーノでダービー頑張ります!」と宣言していた横山典騎手は、寝耳に水の降板だったに違いない。このことが決定打となったかどうかは不明ながら、一部のファンから両者の関係が冷え込む原因となったのではないかとも噂されている。
「一時的に、18年9月のすずらん賞(OP)に出走したクラヴィスオレアで、約5年ぶりにコンビ復活を果たしましたが、結局その1鞍のみ。その後は再び疎遠な状態が続いています」(競馬誌ライター)
藤沢和師が田中勝騎手や川田騎手と久々に勝利を挙げたことで、SNSやネットの掲示板には、「最後に横山典騎手との黄金コンビの復活も見たい」といった声も上がっている。長らく関東を牽引してきた両雄のコンビ復活は、残り4週で果たして実現するだろうか。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。